はぴの本棚

2003年からの読書日記

ヒュッゲ 365日「シンプルな幸せ」のつくり方 (単行本)作者: マイク・ヴァイキング,ニコライ・バーグマン,アーヴィン香苗出版社/メーカー: 三笠書房発売日: 2017/10/13メディア: 単行本この商品を含むブログを見る

>ヨーロッパから火がついて、世界各国で大ベストセラー!!

「ヒュッゲ」とはデンマーク語で、
「心地よさ」「人とともにいるときに感じるぬくもり」
「不安のない状態」を表すことば。

「キャンドルをともして、コーヒーを飲む」
「気のおけない友だちと集まって、部屋で映画をみる」
「シェアできる料理を持ち寄って、おしゃべりする」
「シンプルだけど着心地のよいセーターや靴下をそろえて、温まる」……

心ときめく、小さな幸せをつくる方法。


美しい装丁で気になっていた本です。
「ヒュッゲ」という言葉は初めて知りました。
北欧は幸福度が高い国という印象がありますが、特にデンマークが注目されているんですね。

デンマークでは国民だれもが無料で医療を受けられ、大学教育も無料、失業しても手厚い給付金がもらえるとのこと。
社会保障制度が整っていることは幸福度に大きく関わってくる大事な要素だと思いました。

ヒュッゲを大切にするのは気候(寒さが厳しく、雨が多い)の影響が大きいのかなと思いました。
キャンドルや照明にこだわるところ、家を居心地よくする工夫、コーヒーとスイーツ好きなところ、ゆっくり作る料理や保存食・・・シンプルな幸せいいなあ。
私のヒュッゲな時間は「編み物をする時間」「コーヒーと少しのおやつを食べる時間」「寝る前に読書する時間」
全部すき間時間になってしまうけれど、1日にこの時間を確保するのとしないのとでは気持ちの穏やかさが全然違うと感じます。
仕事や家事、家族と過ごす時間は取れているから人と一緒より一人の時間を欲しているようです。

フィンランドに加えてデンマークもいつか行ってみたい国になりました。

続編の『LYKKE(リュッケ)』も読んでみようと思います。

ワンダー Wonder作者: R・J・パラシオ,中井はるの出版社/メーカー: ほるぷ出版発売日: 2015/07/18メディア: 単行本この商品を含むブログ (13件) を見る

オーガスト・プルマンはふつうの男の子。
ただし、顔以外は。
生まれつき顔に障害があるオーガストは、はじめて学校に通うことになった。
だが生徒たちはオーガストの顔を見て悲鳴をあげ、じろじろながめ、やがて「病気がうつる」と避けるようになる。
一方で、オーガストの話をおもしろいと感じる同級生は少しずつ増えていた。
そんなとき、夏のキャンプで事件が起こる……。
全ての人に読んで欲しい、心ふるえる感動作。

以前の課題図書&映画化されたこともあり、ずっと気になっていてやっと読めました。

顔の障害というのはかなり目立つので本人も家族もしんどいのではないかとまず感じました。
でも、実際にオーガストと出会ったら私も本に登場する大多数の大人や子ども達のような反応をしてしまうような気がします。
そんな反応でたくさん傷ついてきたオーガストの気持ちを想像すると辛い・・・
だから学校に通い始めたオーガスト自身が傷つきながらも成長していく姿が素敵だと思ったし、家族や周りの人達が少しずつ変化していく様子がとてもよかったです。
この本から障害だというだけで目を逸らすのではなく、知ることと実際に本人と接してみることの大切さを教えてもらいました。

あらすじだけで重い話かもと構えてしまいそうですが、読みやすいけれど内容は深く強い印象を残す作品でした。
目立つ色の装丁もとても印象的でした。
たくさんの人に読んでほしいと思いました。
続編の『もうひとつのワンダー』もぜひ読みたいです。

さざなみのよる作者: 木皿泉出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2018/04/18メディア: 単行本この商品を含むブログ (10件) を見る

小国ナスミ、享年43。
宿り、去って、やがてまたやって来る――。
命のまばゆいきらめきを描いた、感動と祝福の物語。

以前読んだ『昨夜のカレー、明日のパン』で木皿泉さんに興味を持って以来、新作を楽しみにしていました。
http://d.hatena.ne.jp/lovelyplace923/20160115

とてもよかったです。
普段無意識に見ないようにしている死がすぐ身近にあるものに感じました。
切ない・・・でも、怖くない。
こんな気持ちになったのは初めてかも。

ナスミが亡くなっても彼女と関わった周りの人達は生きていて、日々の暮らしは続いていくんだなとしみじみ感じながら読みました。
章が進むにつれてさざなみ(波紋のような丸)が広がっていく小さいイラストも好きでした。

ナスミが偶然今の自分と同い年だったのにもびっくり!
いいタイミングで本に呼ばれて読めたような気がします。
死が間近に迫ってきたら色々な感情が渦巻いて混乱しそうだけど、最期は「この人生でよかったな」と思いたいです。

しばらく経ってから再読したいと思える作品でした。

お友だちからお願いします作者: 三浦しをん出版社/メーカー: 大和書房発売日: 2012/08/11メディア: 単行本 クリック: 13回この商品を含むブログ (33件) を見る

だいたいこんな毎日ですが、こんな私でよかったら──。
どこを切ってもミウラシヲンが迸る!
本屋大賞に輝く人気作家の極上エッセイ集。

久々に読んだ三浦しをんさんのエッセイ。
読売新聞や日本経済新聞などに掲載されたとのこと。
少しよそゆき仕様ではありましたが、しをんさんの日常が垣間見えて面白かったです。

私が好きだったのは第三章「旅」がテーマのエッセイ。
旅に出る前と帰った時の気持ちとか、だれと旅に行くかが重要という話は共感しました。

エッセイの中で何度かしをんさんの母親が登場します。
かなり強烈な印象・・・身近な家族だからこそのしんどさ。
しをんさんお疲れさまです(笑)

子どもの頃ぬいぐるみに名前をつけて日替わりで寝ていた話は今の次女とそっくり。
次女に読んでやると「ほんとだ!」二人で笑っちゃいました。

しをんさんの小説でお気に入りは『舟を編む』『風が強く吹いている』ですが、エッセイの中に出てきた林業に携わる人達の話がとても魅力的だったので『神去なあなあ日常』『神去なあなあ夜話』も読んでみたくなりました。

ハリネズミの願い作者: トーンテレヘン,Toon Tellegen,長山さき出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2016/06/30メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (11件) を見る

ある日、自分のハリが大嫌いで、つきあいの苦手なハリネズミが、誰かを招待しようと思いたつ。
さっそく招待状を書き始めるが、手紙を送る勇気が出ない。
もしクマがきたら? カエルがきたら? フクロウがきたら? ――臆病で気難しいハリネズミに友だちはできるのか? 
オランダで最も敬愛される作家による大人のための物語。

第14回 本屋大賞「翻訳小説部門」受賞。
かわいらしい表紙(装丁は日本版オリジナルとのこと)が気になったこともあり、ずっと読みたいと思っていました。

ハリネズミ、お疲れさま!と言いたくなります(笑)
これほどではないけれど、私もくよくよ悩んだり、考えすぎるタイプなので、共感しながら読みました。
まだ起こってもいない未来をあれこれ想像しすぎて(悪い想像がほとんど)しんどくなるんですよね。
考えても仕方ないのになぜかやめられない・・・
年を重ねて気持ちをだいぶ早めに切り替えるようになってきましたが、難しい。

たくさん登場する動物達も個性豊かで楽しかったです。
何度か出てくるカタツムリとカメの会話がいい味を出していました。

このまま淡々と終わるのかなと思っていたら、最後にちょっと物語が動きます。
ホッとしました。
ハリネズミが一歩前へ進めるきっかけになりますように。

他の作品も読んでみたいです。

教養は児童書で学べ (光文社新書)作者: 出口治明出版社/メーカー: 光文社発売日: 2017/08/17メディア: 新書この商品を含むブログ (2件) を見る

子ども向けに本をつくろうとしたらごまかしがききません。
つまらないとすぐにそっぽを向いてしまいますから。
だから、いい児童書は、無駄をすべて削ぎ落としたうえで、ていねいにつくってあるのです。
児童書は、子どもの気持ちにならないと楽しめない本ではなく、優れたものは、子どもが子どもとして楽しめるのと同様に、大人も大人として楽しめます。
この本で紹介する十冊は、すべて、子どもに読むためだけの本ではなく、大人が純粋におもしろいと思える本ばかりを選んでみました。
だから、まずは、大人に読んでもらいたいと思います。(「はじめに」より)

NHKの番組「SWITCH インタビュー達人達」のミムラ美村里江)さんとの対談がとても印象的でいつか著書を読みたいと思っていました。
大好きな児童書の本ということもあり、興味津々で読みました。

「はじめに」から、出口さんの圧倒的な読書量と深い知識が文章から伝わってきました。
どんなに忙しくても寝る前に1時間の読書を続けているとのこと・・・見習いたい!

紹介されていた児童書は10冊ですが、それぞれの本と合わせて読みたい本も紹介されているのがよかったです。
既読は半分の5冊。
未読本の『さかさ町』はぜひ読みたいし、子どもの頃簡略版で読んだことのある『西遊記』や『アラビアン・ナイト』に改めて挑戦するのも新しい発見がありそうでいいなと思いました。

ずっと再読したいと思っている『モモ』今度こそ必ず読みたいです。

樽とタタン作者: 中島京子出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2018/02/22メディア: 単行本この商品を含むブログ (4件) を見る

小学校の帰りに毎日行っていた赤い樽のある喫茶店
わたしはそこでお客の老小説家から「タタン」と名付けられた。
「それはほんとう? それとも嘘?」常連客の大人たちとの、おかしくてあたたかな会話によってタタンが学んだのは……。
心にじんわりと染みる読み心地。
甘酸っぱくほろ苦いお菓子のように幸せの詰まった物語。

中島京子さん、久々に読みました。
「樽とタタン」もそうですが、各章のタイトルも一風変わっていてひねりがある感じ。
読み終わってタイトルを眺めると「そういうことか!」と分かるのが楽しかったです。

「ずっと前からここにいる」「ぱっと消えてぴっと入る」が特に印象に残りました。

私が子どもの頃よりもう少し前の時代の物語ということで、ちょっと懐かしい気がしました。
小学生時代の遠い記憶が浮かんできたり、長女が幼稚園の頃、ちょっとタタンみたいだったなと思い出したり・・・

今はカフェが多いから「レッド・バレル」みたいな喫茶店は貴重な存在でしょうね。
タタンの居場所がここでよかったと思います。

個性豊かな常連客も魅力的でした。
居心地がいい場所には自然と人が集まってくるのかも。
干渉しすぎない絶妙な距離感がいいなと思いました。
こっそり客の中に混ざってコーヒーを飲みながら皆の話に聞き耳を立てるのも楽しそう(笑)

タタンが当時を振り返る最後の章も好きです。
「レッド・バレル」がなくなってしまっているのは寂しいけれど、思い出はその人の心の中にずっと生きているんだなと温かい気持ちになりました。