愛なき世界
恋のライバルが、人類だとは限らない――!?
洋食屋の見習い・藤丸陽太は、植物学研究者をめざす本村紗英に恋をした。
しかし本村は、三度の飯よりシロイヌナズナ(葉っぱ)の研究が好き。
見た目が殺し屋のような教授、イモに惚れ込む老教授、サボテンを巨大化させる後輩男子など、愛おしい変わり者たちと地道な研究に情熱を燃やす日々……
人生のすべてを植物に捧げる本村に、藤丸は恋の光合成を起こせるのか!?
道端の草も人間も、必死に生きている。
世界の隅っこが輝きだす傑作長篇。
分厚い本ですが、面白くてあっという間に読めてしまいました。
料理と植物の研究に共通するものがあるなんて・・・なるほどそうかも!
私は文系なので専門用語はじめ分からない部分もたくさんありましたが、研究者のひたむきさ、神経を使う細かく地道な作業の積み重ねで多くの研究がされていることがよく分かりました。
本村さんほどではなくても人生をかけて打ち込める大好きなものがあるって素敵なことですね。
恋愛要素もありながら、それだけで終わらないのがしをんさんの小説の素敵なところだなと思います。
小説の内容にぴったり合った 美しい装丁にもうっとりしました。
>「結局、地球上の生物はみんな、光を食べて生きてるんだなと」
この言葉がとても印象に残りました。
植物も動物も人間も・・・みんなつながっている。
自分の命を大切に輝かせて生きたいと強く思いました。
そして自分以外の命も同じように大切にしなきゃいけないと一人ひとりが感じて行動したら・・・すごく愛ある世界になると思いました。