はぴの本棚

2003年からの読書日記

暗い夜、星を数えて―3・11被災鉄道からの脱出作者: 彩瀬まる出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2012/02/01メディア: 単行本この商品を含むブログ (10件) を見る

ひとりで東北を旅行中、私は常磐線新地駅で被災した。
命からがら津波を逃れ、見知らぬ人の家で夜を明かした次の日、原発事故を知らせる防災無線が飛び込んできた――
情報も食べ物も東京へ帰るすべもないまま、死を覚悟して福島をさまよった五日間。
若き女性作家があの日からの被災地をつぶさに見つめた胸つまるルポルタージュ


ずっと気になっていた彩瀬まるさん。
小説を先に読むつもりでしたが、旅行中被災した彩瀬さんのルポがあることを知り手に取りました。

私は東北から遠く離れた場所で暮らしていますが、読み始めてすぐに東日本大震災が起こった当時の気持ちを思い出して苦しくなりました。


>「わからないのよ。みんな、自分の身に降りかからないと、わからないのよ」

ショウコさんの言葉が重いです。


地震以外にも突然の事故、テロなど命の危険になる出来事は身の回りにたくさんあります。
そう考えると日々生きていること自体が奇跡であり、ありがたいことなんだなと改めて思いました。
普段忘れているけれど、本当にそう。


>本書がわずかなりとも被災地とそれ以外の地域の心理的段差を埋める踏み石の一つとなれば、なによりの幸いです。

あとがきの言葉です。
被災地から遠く離れていた私でさえ胸がつぶれる思いだったのだから、旅行中でたまたま居合わせて生きるか死ぬかという瀬戸際にいた彼女はものすごい衝撃だったはず。
それをこうやって文章にして多くの人々に伝えてくれること、本当に貴重だし大切だと感じました。


東日本大震災から5年経ち、報道も少なくなってきています。
私のできることは忘れないこと、自分にできる支援を続けていくこと。
これからも関連本を読むことで少しでも寄り添えたらと思います。