僕は、そして僕たちはどう生きるか作者: 梨木香歩出版社/メーカー: 理論社発売日: 2011/04/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 54回この商品を含むブログ (40件) を見る
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梨木香歩さんは大好きなんですが、しばらく前から難解になってきた印象がありました。
手に取るのにヨイショがいる感じというのかな・・・読み終わると頭を使い過ぎてぐったりするような(笑)
今回の作品は久々に気持ちよく読め、かつこれまで同様深く考えさせられる内容でとても好きになりました。
主人公は14歳のコペル君。
父は主夫、母は大学で教えているため職員宿舎に住んでいて別々の暮らし。
一人暮らしの合間に叔父である染織家のノボちゃんが時々訪ねてきてくれます。
冷静なのに天然?しっかり考える力を持っているコペル君に好感が持てました。
この作品の元祖である『君たちはどう生きるか』吉野源三郎著もぜひ読んでみたいです。
小6から不登校を続けている優人(ユージン)、ユージンの従姉ショーコ、ショーコの先輩インジャと関わる中で成長していくコペル君。
何度も「考えなければいけない」という言葉が登場します。
シカ害を防ぐためにライオンの糞尿をまいたということから環境破壊について考え・・・
また世間には色々な人間がいるということについて、戦争について、普通について、勇気について、コペル君の考えることは多岐に渡ります。
読みながら私自身にも「あなたは考えている?」とまっすぐ問いかけられているような気がしました。
読書のシンクロってたまにあるんですが、びっくりしたのは今並行して読んでいる本が鳥山敏子さんの『いのちに触れる』だったこと。
杉原先生が参考にした教師はきっと鳥山敏子さんだったと思います。
大学時代、授業で取り上げられて読んで以来ふと思い出して手に取ったこの本。
後日感想を書くつもりですが、もっと真剣に読んでいればよかった!
人は、人を「実験」してはいけないという言葉や「魂の殺人」はすごく威力のある言葉でとても印象に残りました。
>「〜人間は、どうしたって、群れの動物なんだ。群れから遠ざかることはできても、全くの一人で暮らしていくなんてできないんだ。〜」
ユージンもインジャも深い傷を抱えてしまったけれど、人は人との関わりなしには生きていけないんですよね。
彼らにも仲間がいたようにどんなに苦しくて辛いことがあっても、きっとどこかに自分の居場所になる群れがあるんだという希望のメッセージを感じました。
>自分は何が好きで何が嫌いか。他人がどう言っているか、定評のある出版社が何を出しているか、部数の多い新聞がどう言っているか、じゃない、他ならぬ自分はどう感じているのか。
大勢が声をそろえて一つのことを言っているようなとき、少しでも違和感があったら、自分は何に引っ掛かっているのか、意識のライトを当てて明らかにする。自分が、足がかりにすべきはそこだ。自分基準(スタンダード)で「自分」をつくっていくんだ。
他人の「普通」は、そこには関係ない。
この文章にもすごく力をもらえました。
本能的な自分の感じる力をもっと信じて生きていきたいと素直に思える素敵な作品に出会えて本当によかった!
たくさんの若い人達に読んで欲しいと思います。
梨木さん、これからもついていきます♪