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2003年からの読書日記

子どもを放射能汚染から守りぬく方法作者: 武田邦彦出版社/メーカー: 主婦と生活社発売日: 2011/06/24メディア: 単行本購入: 5人 クリック: 100回この商品を含むブログ (8件) を見る

★★★★
(554)
妹から借りました。
日常生活で子どもの放射線被ばくをできるだけ避けるにはどうしたらいいかが具体的に書かれています。

子どもを持つ若い親達向けなのかな?呼び方が「パパ」「ママ」と書かれているのが少々気になりました。
(ちょっとしたことですが、お父さん、お母さんでもよかったかなと・・・)


著者のブログは福島原発事故以来チェックするようになりました。
現在は中部大学教授・工学博士。
これまで旭化成工業のウラン濃縮研究所長、内閣府原子力安全委員会専門委員などを務めたそう。
世界で初めて化学法のウラン濃縮に成功という話は初めて知りました。

経歴を見ると以前は原発推進派だったということなのでしょう。
東日本大震災を機に考えが変わった?
批判も多い方のようですが、年間100ミリシーベルトの被ばくでも安心と言う専門家や福島の児童や生徒の被ばく線量の上限を年間20ミリシーベルトとする基準を決めた文部科学省(現在は1ミリシーベルトを目指すとしている)よりはずっと信頼できそうです。
本はブログに書かれていることと重なる部分も多いけれど、インターネットを見られない人達にはとても参考になるのではと思いました。



プロローグ 子どもの目線で放射性物質がたまりやすい危険な場所を再チェック

緊急対談 武田邦彦×尾木直樹

PART1 子どもを放射能から守る
PART2 ママとパパの放射線対策
PART3 放射線を防ぐ日常生活の知恵
PART4 疑問や不安を解消するには
PART5 子ども達の未来のために




>1年に1ミリという数字はすべての人が対象で、その中には成人のほかに小学生、幼児、妊婦、医療の関係で被ばく量が多い人、病気の人なども含まれます。また、外国旅行が多い人(東京―ニューヨーク往復で約190マイクロシーベルト被ばくする)、ラジウム温泉が好きな人なども考慮されています。つまり、「1年に1ミリ」は余裕のある数字で、これを守っていれば、赤ちゃんや妊婦さんなど弱い人も安心して生活できるということです。


国際勧告と日本の法律で決められていた1年に1ミリシーベルトという放射線被ばくの基準。
今回の原発事故を機に専門家や文部科学省の発表がコロッと変わったことには驚きました。
それだけ事故が大量の放射能をまき散らしたということなんでしょうけど、多くの国民の健康を危険にさらしてまで守ろうとしているものは何なのか?
表向きは生産者を守ること、無用なパニックを防ぐことなんでしょうけど、他にも色々ありそうです。


よく使われる「ただちに健康に影響はない」という言葉はなんとなく怪しいと感じていましたが、急性障害はないけれど晩発性はあるということを暗に物語っているということなんですよね。

放射線の怖いところは、体内に長い間、あるいは一生蓄積し、遺伝子の損傷などの悪さをすることです。

たしかに間違ったことは言っていないけれど、その裏に隠れた意味をしっかり見ておく必要があると思いました。


風評被害」という言葉についてもそう。

>テレビで言っている「風評被害」というのは「放射性物質が入っていても基準値以下なら問題はないのに、それを危険と言っている」という意味ですが、これは風評被害でも何でもないのです。

>被災地支援を考えるのなら、去年収穫された米や東日本大震災前にできた野菜や加工品、酒を購入すればいいのです。汚染された野菜は、基準値以下であっても子どもたちには食べさせず、すべて国が買い上げればいいのです。やるべきことは、種をまき、育て、収穫することではなく、田畑の土地を入れかえてきれいにすることです。「復興」と「子どもを守ること」は、まったく別問題です。


被ばく量がわかる計算式もやってみましたが、多かれ少なかれ被ばくしてしまっているという現実に愕然としてしまいました。


日本中、どこでも100%安全とはいえなくなってしまったと認めることだけでも怖いし、数年後〜数十年後に出てくるという子ども達への放射線の影響も心配。
でも被ばくしても回復する力は持っているという話は希望だし、信じたい!

>補修に使う酵素などは非常に複雑でそれを体内で作りためにはバランスのよい食事と休養、それに明るく活発な生活が必要です。
放射性物質とのつきあいは、残念ながら長く続きます。子どもは親の表情や気持ちにとても敏感なので、親が不安になったりイライラしたりせず、子どもと楽しみながら放射性物質を避けるというのも大切になってきます。


これは放射線に関係なく病気全般について言われていることだと感じました。


頭では分かるのですが、西日本に住んでいる私でさえまだまだ気持ちのバランスを取るのが難しいのに被災地やその近くで暮らす方達はより一層大変だと思います。


私自身心配しすぎと言われることもありますが、今からしっかり気をつけることで健康が守れるなら注意した方がいいと思います。
でも、それ以外は毎日なるべく明るい方を見て過ごすこと。

周りに流されないこと、知識をつけて正しい情報を選ぶ目を持つことが大事だと感じました。



(メモ)2011年6月現在との注意書きあり。

放射線量の測定は足し算。
外部被ばく+呼吸からの被ばく(内部被ばく)+食品(内部)+飲料水(内部)+運動するときに口から入る土ボコリなど(内部)の合計で考える。

・安心して食べられる食品は、1㎏あたり10ベクレル(放射性ヨウ素セシウムの場合)以下のもの。

・水道水は1リットルあたり20ベクレル以下なら飲める。
より注意したい場合の目安は1リットルあたり7ベクレル。

・魚介類はどこで水揚げされたかでなく、どこでとれたかが問題。

・「安全宣言」を出すところが最も危険。
安全宣言を出すところは放射性物質で汚染されていることが多い→単に基準値以下ということ。

カリウムの多い食品をとろう。
いも類や豆類―大豆や納豆、枝豆など(外国産のもの)、海藻類―昆布やヒジキ、海苔、ワカメなど(北海道、四国、九州、日本海側産、外国産のもの)、ナッツ類―ピスタチオやアーモンド(外国産のもの)などがおすすめ。