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2003年からの読書日記

床下の小人たち―小人の冒険シリーズ〈1〉 (岩波少年文庫)作者: メアリーノートン,ダイアナ・スタンレー,Mary Norton,林容吉出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2000/09/18メディア: 文庫購入: 18人 クリック: 323回この商品を含むブログ (97件) を見る

ジブリの映画「借り暮らしのアリエッティ」をきっかけに再読。
最初の感想はこちら
もう6年以上も前でした。


初読の時は小人の暮らしぶりに注目していて物語にはいまいち興味が薄かったようです。
「借り暮らし」「借りる」って言葉はやっぱりかわいい。
ちょっと控えめな感じのする言葉なのがいいですね。


アリエッティはもうすぐ14歳でちょうど思春期。
親に反発したり、自分だけの時間を持ちたい、新しい世界に飛び出したい、など同じ年頃の子どもが読むときっと共感しそう。
「とじこめられて!」という言葉は彼女の気持ちをよく表しているけれど、我が子のためを思ってやってきたポッドとホミリーにとってはショックだったろうと思いました。


そして病気療養中の男の子との出会い・・・
小人にとって人間は借りぐらし屋のためにあると当然のように思ってきたけれど、人間にとっての小人は数が少なく将来死に絶える存在だと思われていること。
アリエッティも男の子もお互いの姿形や常識の違いに驚くんですが、少しずつ歩み寄っていきます。
自分達の世界では当然だと思っていることが相手の世界では通用しないということって小人と人間に限らずけっこうあるんですよね。
アリエッティが男の子の影にぞっとする場面がありましたが、自分達人間も地球や宇宙から見たら小人なわけで・・・と考えると怖くなるような不思議な気持ちになりました。


今回印象に残ったのは母親のホミリー。
以前は家のことしか頭にない口うるさい母親としか思わなかったけれど(笑)
子どもを育てている現在、ホミリーの気持ちがよく分かるような気がしました。
家を居心地良くしようと奮闘する様子や住み慣れた家を急に引っ越すのはなんとしても避けたいというのも家を守る母親だからこそ。
自分がアリエッティより母の年齢や気持ちに近づいているんだなと思いハッとしました。


ケイトとメイおばさんの語る場面からスッと物語に入っていける導入部。
最後もまた二人の会話で終わる(読者も元の世界に戻ってくる)のも自然でよかったです。
本当に小人はいたのか?いないのか?謎は残された感じですが、結末も含めて素敵な物語だと思いました。


シリーズはあと4冊あるので、アリエッティ達のその後をぜひ読んでみたいと思います。