はぴの本棚

2003年からの読書日記

引き出しの中の家 (ノベルズ・エクスプレス)作者: 朽木祥,金子恵出版社/メーカー: ポプラ社発売日: 2010/03/02メディア: 単行本 クリック: 24回この商品を含むブログ (9件) を見る

花明かり、なんて素敵な存在なんでしょう♪
読んでいて『床下の小人たち』や「コロボックルシリーズ」を想像しました。
「アリスのドア」「チューリップの樹」なんて童心に戻った気分でわくわくしてしまいます。
すごく好きな物語になりました。


物語はもちろん装丁もお気に入りです。
表紙や物語中に登場するイラストもかわいらしいんですが、見返し部分の赤い布が美しい。
この本、ぜひ我が家の一冊に迎え入れたくなりました。

著者の『風の靴』では主人公が少年でしたが、こちらは少女向けの物語。



196*年の七恵と独楽子の物語と200*年の薫と桜子の物語が描かれているので、かつて少女だった大人達も十分楽しめると思います。
楽しく読んでいた七恵と独楽子の物語でしたが、体が弱い七恵の様子が時々語られ少し不安も感じていました。
だから突然の別れに大ショック。
なんとも悲しい結末で次の薫と桜子の物語を読むのが怖かったです。


でも最後まで読んでよかった!
読者はもちろん薫のおかげで長年の謎が解けた独楽子はうれしかったでしょうね。


七恵の時代と薫の時代、どちらの雰囲気も想像できたのはよかったです。
この物語が読める現代の子ども達がうらやましい。
大切な物語になってくれるといいなと思います。
私はちょうどその中間の世代になるのでちょっと残念でしたが、七恵や薫のように引き出しの中の家に憧れる気持ちはよく分かる!
小さい小さい道具、手作りの喜び、女の子なら特に共感できるお楽しみですね。


薫と桜子の物語はまた雰囲気が違って楽しめました。
薫はさすがに現代っ子、パソコンを上手に利用して情報収集したり、友達に協力を募ったり・・・周りに気配りしつつ、明るくて前向きな女の子でした。
ぶきっちょな手だからこそいいんですよね。

過去と現在をつなげるお手伝いもできたし、おばあちゃんを元気にさせることもできた。
薫は周りを幸せにする魔法の子だなと思いました。
盆栽って本当に花明かりのために作られたのかも?ちょっと見る目が変わりました。

オリジナルの引き出しの中の家を娘達と一緒にいつか作りたいです。