はぴの本棚

2003年からの読書日記

ブリット‐マリはただいま幸せ作者: アストリッド・リンドグレーン,Astrid Lindgren,石井登志子出版社/メーカー: 徳間書店発売日: 2003/07/16メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (4件) を見る

(370)
リンドグレーンさんのデビュー作だそうです。
でも、デビュー作だとは思えないくらい完成度が高い作品。さすがだと思わされました!

タイトルに「幸せ」とついているように、明るくわくわくするような日常が綴られています。
(原題は「ブリット-マリは、ほっとする」だそうですが、私は邦訳のタイトルの方が好みでした)


スウェーデンの小さな町で暮らすブリット-マリは15歳の少女。
両親、他4人のきょうだい、お手伝いさんも含めた大家族の中で暮らしています。
けんかをしたり、時には煩わしいこともあるけれど、やっぱり家族が大好きな様子があちこちから感じられ微笑ましいです。


母からお古のタイプライターをもらったブリット-マリがペンフレンドのカイサに手紙を書く形式で物語は進みます。

自分の家族のこと、友達のこと、恋の喜びと悩み、自然を慈しみ愛する気持ち・・・等身大の少女の日常が綴られています。
読者もカイサと共にブリット-マリの手紙をそっと覗かせてもらっている感じ。
ブリット-マリが人生を思いっきり楽しんでいる姿はとても素敵で輝いています。


ブリット-マリが本好きな少女なのもよかったです。
作品の中で色々な本が紹介されていたのもうれしかったし、
あとがきにもありましたが、結婚が全てではなく、仕事を持ち自立した人間になりたいという気持ちを持っているのが(この当時を考えると)新鮮だなと思いました。



・生きているって素晴らしい

・「この今」を夢中で生きている


いつもこういう気持ちでいられたら、なんて素敵なんでしょう。
でも実際は色々な日があって、常に人生を喜ぶというのは難しいんですよね。
だからこそ日々うれしいことを見つけたり、感謝する気持ちを忘れてはいけないと思わされました。


あたたかく幸せな気持ちで本を閉じることができました。
リンドグレーン作品はタイトルだけ知っていて未読なものが多いので、これから少しずつ読んでいきたいです。