はぴの本棚

2003年からの読書日記

はてしない物語 (エンデの傑作ファンタジー)作者: ミヒャエル・エンデ,上田真而子,佐藤真理子,Michael Ende出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1982/06/07メディア: 単行本購入: 26人 クリック: 1,077回この商品を含むブログ (183件) を見る

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再読です。
この本、中学生の時に自分の小遣いで買った初めての高額本。(当時2800円でした)
すごく思い入れがあります。
今は文庫も出ていますが、この本はやっぱりハードカバーがいいなあと思います。
あかがね色の絹張りの表紙を見るとわくわくしてしまうし、二匹の蛇がお互いの尻尾を咬んでいる神秘的な絵、章の始めの美しい絵ときれいな飾り文字、どれも素晴らしいです。

ずっと本棚には置いてあったのですが、再読する機会はなかなか来ず、もう15年以上は経ってしまいました。
だから再読といってもほとんど記憶は薄れていて、ほぼまっさらな気持ちで読むことができました。


簡単に内容を紹介すると・・・
前半は「はてしない物語」の中にある世界(ファンタージェン)で原因不明の虚無が広がり、それは幼ごころの君(ファンタージェンの統治者であり生き物たちの命の源)が重い病にかかっていることと関係があると分かります。
ファンタージェンが救われるには、幼ごころの君に新しい名前をつけてあげる救い主を探すことだったのですが・・・
選ばれた勇者アトレーユが幸いの竜フッフールと別の世界にいる救い主を探す旅をする話。

後半はファンタージェンにやってきたバスチアンの物語。
救い主として英雄になり、たくさんのものを得ますが、代わりに失って(忘れて)いくものもあり・・・
バスチアンは元の世界に戻れるのでしょうか?


以前読んだ時はアトレーユの冒険が強く印象に残っていましたが、今回はファンタージェンに行ったバスチアンの話の方が興味深かったです。
現実の世界ではでぶでエックス脚、いじめられっこだったバスチアンでしたが、想像するのが得意な少年でした。
それが、ファンタージェンでは救い主として尊敬される存在に。
幼ごころの君から預かったアウリンの力のおかげで、自分の望んだことはすべて叶うようになり、姿形だけでなく、性格もどんどん変わっていきます。
しかし望みが叶えられる代わりに大きな代償が・・・
現実世界で暮らしていた記憶が一つずつ消えていくのです。

『汝の 欲する ことを なせ』というアウリンに描かれている言葉は、したいことをなんでもしていいということではなくて、真に欲することをすべきで真の意志を持て(これが難しい)ということでした。

バスチアンの望みが叶い、記憶が一つまた一つと消えていくたびに、読んでいるこちらがどんどん切なくなってしまいました。
元帝王たちの都」の章はかなりゾクゾクした気持ちで読みました。

バスチアンにとって本当に大切なものに気づいた時、(それはちょっぴり遅くて険しい道のりだったのですが)ホッとして少し涙が出てしまいました。
現実世界に帰って少し強くなれたバスチアン。
本当によかったと思います。

自分を愛すること、人を愛すること、人にありのままの自分を愛してもらうこと、よき友を持つこと・・・
人間、望みは数限りなく湧いてくるものだけれど、本当に大切なことって、やっぱりシンプルなことなんだろうなと思います。
再読して色々なことに気づけてよかったです。
やっぱり私にとって大切な一冊だと改めて思いました。

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ぱせり > わたしもこの本、ずいぶん長いこと本棚に放置しっぱなしです。細かい部分などほとんど忘れているので、もし再読したらやはり、まっさらな気持ちで読めるだろうな、と思います。トントンさんの「本当に大切なことって、やっぱりシンプルなことなんだろうな」という言葉、いいですね。わたしも再読してみたいです。 (2006/03/11 09:36)
トントン > ぱせりさん、こんにちは♪ぱせりさん家の本棚にもこれあるんですね。置いてあるとつい安心してしまうんですよね(笑)私も長い間再読できずにきましたが、すっかり忘れていてかえって楽しめましたよ。「本当に大切なことって、やっぱりシンプルなことなんだろうな」というのは最初に読んだ時は浮かばなかったかもしれません。大人になってより深く楽しめた気がします。ぱせりさんの再読した感想もゆっくり楽しみに待ってますね。 (2006/03/11 13:59)
北原杏子 > 再読されたんですね。トントンさんの感想、まさしくそうそう!でした。私もいつか再々読できたらいいな♪もうちょっと記憶がうすれかけた時にでもね。 (2006/03/11 19:05)
トントン > 北原杏子さん、こんばんは。やっと再読できました♪まさしくそうそう!だと言って下さってなんだかうれしいです。いつか再々読、いいですね^^私も忘れた頃にまたしてみたいと思います。 (2006/03/12 21:52)
すもも > おお、五つ☆ですか。じつはこの本、先に映画を観てしまって、手にとっていません。なので日記は斜め読みです。時間があったらぜひ読んでみたいと思いました。 (2006/03/14 10:03)
トントン > すももさん、こんにちは♪私は映画を観てないんですが、観た人の話を聞くと本とは別物だと思っていいみたいですよ。すももさんもまた時間のあるときにじっくり読んでみてくださいね。 (2006/03/14 12:37)
ケイ > こんにちは。お久しぶりです。再読されたんですね。トントンさんの言われるように、バスチアンが大切なことを見つけられて本当によかったです。。また話そうね。。 (2006/03/24 13:05)
トントン > ケイさん、お久しぶりです♪またお話できてうれしいです^^再読はだいぶ間があいていたのでほぼまっさらな気持ちで読めました。バスチアンが大切なことを見つけられてよかったですよね。ぐっと成長して、こっちの世界に戻ってこれたのもよかったと思いました。 (2006/03/24 22:19)
カルミア > 映画は見たけれど、本はいつか読みたいなと思いながら、エンデさん(というよりエンデのことを解説している本)ってどこか思想めいたところがあるのかな、という気がして苦手意識がでていました。でもモモはよかった覚えがあるし、物語は自分でここはこう思うという自分だけの解釈を持ってもいいと思うから、いつかあの映画で見たファンタージェンの世界に想像の羽を広がせて読んでみたいです♪  (2006/04/07 20:17)
トントン > カルミアさん、こちらにもありがとうございます。私は映画は観ていないんですが、本とは別ものみたいですね。私もいつかビデオで見てみようかと思ってます。苦手意識・・・私も再読まで長かったので、なんとなく分かる気がします。でもモモがよかった覚えがあるならきっと大丈夫ですよ!カルミアさんならじっくり物語を楽しんで読めるんじゃないかなと思います。いつか感想聞かせてくださいね。 (2006/04/07 22:50)