はぴの本棚

2003年からの読書日記

川べのちいさなモグラ紳士作者: フィリパ・ピアス,Philippa Pearce,猪熊葉子出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2005/05/26メディア: 単行本この商品を含むブログ (7件) を見る

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最近不思議な話を続けて熱心に読んでいたので、ちょっとぼーっとしてる感じです。

梨木さんの本をあまり熱心に読んでいるので、夫には「どんな本読んでるの?」と聞かれ、私「ぬか床から人が生まれる話・・・」と一応説明。
夫「・・・ぬか床から人は生まれんよ」とあっさり片付けられてしまいました。

次に読んでいたのがこれだったので、また聞かれた私が「モグラが300年も生きていてしゃべる話・・・」と説明すると「・・・モグラはしゃべらないし、そんなに長生きせんよ」と言われてしまいました(笑)
不思議な本ばかり読んでいると思われたかも。

モグラがしゃべるファンタジーと聞くと突拍子もないけれど、このモグラ、すごく知的で魅力的なキャラクターでした。
しゃべれるモグラというのにも理由がありました。
300年以上前の王位継承の騒動に巻き込まれ、魔法の力で寿命が延び、死ぬこともできなくなってしまったのです。

二度にわたり魔法に触れ、長く旅をするうちに人間と会話する能力を身につけることになったモグラ
ある時ベットという少女に出会います。
少しずつ信頼を深めていくモグラとベット。
モグラはベットの悩みに耳を傾け、意見も言ってくれます。
人間と動物の触れ合いだけでは終わらない感じです。

「信用というものは、おたがいにしあうものだからな。」
「友だちはいつだって、友だちを助けるものだ。」

以前モグラが交流したミスXの話をあげて助言をするところも好きな場面です。
「橋までいかなければ渡れはしない、とな。先のことをあれこれ思いわずらうよりも、今しなくてはならんことをまず念頭に置く。そして、義務を果たすべきだ、と。」

魔法のモグラが自然のモグラに戻ること・・・
魔法がとけたら、永遠の命はなくなるし、人としゃべることもできなくなってしまう。
ベットのこともきっと忘れてしまうだろう。
失うものはあるけれど、それは魔法の力で得た能力なんですよね。
結末はやっぱりあれでよかったんだろうと思いました。

モグラでも人間でも自分が自分らしくいられること、きっとそれが一番幸せなんでしょうね。

1920年生まれのピアスさん、もう85歳を越えてるんですね。
これからも素敵な作品を作り続けて欲しいと思いました。

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ときわ姫 > 私は動物がしゃべる話は苦手なのですが、これはすごく良かったと思いました。ちゃんとしゃべれる理由があれば私は受け入れることが出来るんだ!と自分で分かったし。あの魔法の力だったのですね。
ラストのモグラの塚が輪になっているところ、胸にぐっと来ました。私も結末はあれで良かったのだろうと思います。年をとってもこんな作品を生み出せるピアスさん、なんて素敵な人でしょうか。 (2006/01/29 17:07)
ぱせり > トントンさんとご主人の会話がおもしろすぎます♪ その後が↑「紳士とオバケ氏」ですもんね・・・ホント不思議な本読んでると思われるかも・・・♪
わたしもラスト、好きです。あのラストにじーんとなって、☆5つつけてしまいました。
ピアスさんこれからも素敵な作品を・・・とわたしも思います。 (2006/01/30 09:40)
トントン > ときわ姫さん、動物がしゃべる話は苦手なんですね。ちゃんとした理由があれば受け入れられるというのは、ときわ姫さんらしいというか^^なるほどと思いました。私はけっこうどんな設定でも大丈夫なんですが(笑)これは理由がちゃんとあって納得できました。ラスト私もじーんとしました。それにベットが悩みながらも魔法を解く決意をしたところ、あれもすごくよかったです。ピアスさんにはもっともっと素敵な作品を生み出して欲しいですね。
>ぱせりさん、会話面白かったですか!しばらく不思議な本が続いたので夫には怪しまれてそうですよ(汗)でも実際読んでみると違うのに!ぱせりさんもラストが好きだったんですね。本当にいい終わり方でした。新しい作品も楽しみだし、未読のものも多いので少しずつこれまでの作品も読んでいきたいと思いました。 (2006/01/30 22:09)
three bells > 自分が自分らしくいられること、そうですね!永遠の命もいらないですよね!私もこのお話は好きで感動しました。 (2006/01/31 15:59)
トントン > three bellsさん、そうなんですよね。永遠の命・・・傍から見たらうらやましいのかもしれないですけど、モグラにとっては必要じゃなかったんですよね。また一つ本プロで素敵な物語に出会えました。 (2006/02/01 23:59)


[★★★★][児童書・YA][高楼方子]

紳士とオバケ氏 (ものがたりのもり)

紳士とオバケ氏 (ものがたりのもり)

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児童書です。
絵本ではないけれど、絵はけっこうたくさん入っています。
高楼さんの文に飯野和好さんの絵がぴったりはまっています。
漢字に振り仮名はついてるけれど、小学校中学年向けくらいかな?

主人公はマジノ・マジヒコ氏。古い一軒家に住んでいます。
名前の通り真面目で、起きる時間も寝る時間もきっちり。
規則正しい生活をしていましたが、ある日間違えて真夜中に目覚めます。
すると自分にそっくりなオバケがいるではありませんか・・・

オバケは父や祖父の代からいて、夜中にまじめな空気をほどよくほぐしていたとのこと!
説明するオバケの話がまた面白かったので、ちょっと抜粋しておきます。

「まじめな空気というのは、毎日ほどよくほぐしておかないと、どんどんかたまってゆくんですよお〜。
そうなりますと、住んでる方のまじめ具合が、ねじくれたほうへ、ねじくれたほうへと、どんどんかたむいてゆきまして、しまいにはねじれた化石みたいな、困ったお人になるんですよお〜。
こうなりますと、もう紳士とはよべませんよお〜。
ですから、こうしてプカプカ、まめにほぐしておくわけですよ〜(プカン)」
面白いだけじゃなくって、なんだか心に残る言葉でした。

マジヒコさんの真面目っぷりがオバケ氏との交流で、少しずつ変わっていく様子がとても和めます。
読んでいてついニコニコしてしまいました。
オバケ氏と手紙を交換したり、一緒にチェスをしたりして、本や映画の話をして・・・

きっちりしていたマジヒコさんが夜更かしをして、会社に遅れそうになったり、(でも会社の人には親しみやすくなったと好評価!)
オバケ氏が代わりに会社に行く場面も楽しかったです。

ほどほどに真面目な紳士になったマジヒコさん、いいなと思いました。
これでオバケ氏以外にも人間の友達ができるでしょう♪

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北原杏子 > 子ども向けだけど、この本は面白かったです。さすが高楼さん!と思ってしまいました。マジヒコさんとオバケ氏の交流がよかったですね。 (2006/01/30 00:10)
ぱせり > そうそう、子ども向けなんですけど、このセンスのよさ、このとぼけたおかしさ。ほのぼのと幸せになる感じ。大好きな本です。子ども(だけ)の本にしておくのはもったいないくらいです。 (2006/01/30 09:44)
キイロイトリ > 夜中にまじめな空気をほどよくほぐしてくれるオバケ、すご〜く気になります!面白そうですね。まじめすぎてねじれちゃったりするのかな。探してみますね。 (2006/01/30 13:59)
トントン > 北原杏子さん、そうそうさすが高楼さん!ですよね。面白くてにやりとしてしまう場面がたくさんありました。マジヒコさんとオバケ氏の交流、あったかくてよかったです。
>ぱせりさん、この本子どもだけでなく、大人にもおすすめですよね。ぱせりさんのおっしゃる「センスのよさ」「とぼけたおかしさ」も、「ほのぼのと幸せになる感じ」もその通りだと思いました!
キイロイトリさん、気になりましたか^^まじめすぎてねじれちゃったり・・・なんて面白いですね。ぜひぜひ読んでみてください♪キイロイトリさんの感想楽しみに待ってますよ〜! (2006/01/30 22:14)
キイロイトリ > トントンさん、読みました〜☆すごくおもしろかったです。ご紹介して頂いてありがとうごさいました! (2006/02/20 17:48)
トントン > キイロイトリさん、読まれたんですね。すごく楽しまれたようでよかったです♪ (2006/02/20 23:39)