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2003年からの読書日記

風神秘抄作者: 荻原規子出版社/メーカー: 徳間書店発売日: 2005/05/21メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 30回この商品を含むブログ (100件) を見る

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更級日記を読んでから読むとより楽しめると、ときわ姫さんからお聞きしていたので、まず更科日記から。
図書館で借りたのはいいのですが、脚注だけの本を借りたのがいけなかったのか、難しすぎて数ページでギブアップ(笑)
インターネットを渡り歩き、口語訳のあるところをなんとか見つけて読みました。

『薄紅天女』に関連するような竹芝の男が姫君を故郷に連れて行った話が入っていたり、足柄山の遊女の登場する場面はとても興味深く読めました。
物語に憧れた少女時代から尼になるまでの約40年のことが書かれ、過去の時代に生きた一人の女性の暮らしを少しでも感じることができたのはよかったです。
これからは日本の昔の文学にも少しずつ触れていきたいと思いました。


さて『風神秘抄』です。
今回勾玉は登場しないので3部作を読んでいなくても楽しめる内容になっていますが、少しリンクしている部分もあるので、読んでいるとなお楽しめると思いました。
3部作は『薄紅天女』以外は手に入れたので、もう1作とこれも欲しくなりました。

主人公の草十郎は人と交わるのが苦手で、笛を吹くのが何より好きな少年。
時代は平安末期、源氏方として平治の乱に加わっていた草十郎でしたが、将の源義平を慕ったのもつかの間、源氏方は敗れ、草十郎は義平の弟、頼朝を助けに行き、一行からはぐれてしまいます。
京に戻った時には義平は討ち取られていて絶望する草十郎。
そこでちょうど魂鎮めの舞いをしていた少女糸世と出会います。
人前では笛を吹かない草十郎でしたが、彼女の舞いには惹かれ、つい笛を合わせてしまいます。
糸世の舞いと草十郎の笛が出会った時、不思議なことが起こります。
後白河上皇がその力に気づき、寿命を延ばすことに利用しようとして・・・

私は歴史が苦手なので最初に保元・平治の乱や主な人物をおさらいしてから読み始めました。
歴史や登場人物の背景が分かると物語が何倍も面白く感じました。
興味深かったのは後白河上皇
本当にこんな性格の人物だったのかな?と信じてしまう位。
毎回思うのですが、荻原さんは歴史上の人物をうまく物語に取り入れていて、(どこまでが事実で、どこからがフィクションか分からないほど)本当にすごいと感じてしまいます。

それにしゃべるカラス鳥彦王の存在がとてもよかった!
ひょうひょうとしていたり、ちょっと間が抜けていたりするのもかわいい。
でも、王というだけあって、実はすごい力があったんですね。
鳥彦王の存在で物語の面白さがさらに増していると思いました。
糸世と草十郎の恋物語としても読めるし、歴史ファンタジーとしても存分に楽しめました。

荻原さんはあとがきで「できれば、また、このつながりで物語を編んでみたい」とおっしゃっていました。
歴史の事実とフィクションをうまく絡めた物語、今後また出会えるのかと思うと楽しみです!

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あしか > これは、私の中ではBEST OF 荻原!です。子どもを産む前だったら、娘に糸世ってつけちゃっただろうなって思うほどです。しばらくあの平安末期の世をうろうろ漂いましたよ。つながりを編む?そうでした?うわ〜うれしい。編んで編んで! (2005/11/26 11:05)
ときわ姫 > トントンさん、私のところにレスを有り難うございます。あの日記で更級日記を読んでいただいたなんて嬉しいです。
あのときは勾玉3部作そのうち買っちゃうかも・・・なんて書いてましたが、今はもう買っちゃいました!先日「薄紅天女」のノベルス版が出て、これで全部揃ったのです。そのうち「空色勾玉」からこの「風神秘抄」まで一気読みしようと思っています。 (2005/11/26 13:15)
キイロイトリ > トントンさん、こんばんは。私もこの本大好きで、何度でも読み返したくなる作品です♪更級日記を読んでからだと、楽しめる、いいこと聞きました。いつか再読する時は更級日記読んでみたいです。
「薄紅天女」ノベルズ版、私も買わなきゃ〜。 (2005/11/26 19:27)
すもも > トントンさん、読まれたのですね。わたしも鳥彦王が一番印象的です。彼を主人公にした続編、書いてくれないかな、なんて思っています。 (2005/11/26 21:11)
トントン > みなさんレスありがとうございます!
>あしかさん、BEST OF荻原!分かります。私もこれお気に入りの一冊になりました。名前に糸世とつけたいほどだったとは^^そうそう「つながりを編む」ですよ。早く読みたいですよね。楽しみです。
>ときわ姫さん、更級日記を読んで本当によかったと思っています。荻原さんは本当にこの話が好きなんだなと感じました。物語が何倍にも楽しめてよかったですよ!ありがとうございます。勾玉3部作手に入れられたんですね♪うらやましい。一気読み贅沢な時間になりそうですね^^
キイロイトリさん、本当に何度も読み返したくなる作品ですよね。更級日記は『薄紅天女』にもリンクするようなエピソードがあって読んでいると楽しめると思いますよ。ノベルズ版いいですよね・・・今2冊ハードカバーで集めたんですが、私もノベルズ版欲しくなってきました。
>すももさんも鳥彦王が印象に残ってるんですね。彼を主人公にした続編、面白そう。嫁取りの話とかいいですよね(笑)読んでみたいです。 (2005/11/27 10:08)
まゆ > 私も今日、ようやく読みました(というか、今日までとっておいたのですが)。ラストでどうしようもなく泣いてしまいました。鳥彦王、よかったなあ。荻原さん、これからも日本歴史ものファンタジー書くつもりらしいので、とっても楽しみです。その時自分が何歳になっていようと、絶対追いかけて読もうと決めています。 (2005/11/27 17:41)
トントン > まゆさん、私のところにもありがとうございます。ラストなんともいえなかったですね。鳥彦王は大活躍でしたよね!こんな素敵な物語を書ける荻原さん、すごい人ですね。私もこれからもずっと追い続けようと思います。 (2005/11/28 08:21)