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2003年からの読書日記

狐笛のかなた作者: 上橋菜穂子出版社/メーカー: 理論社発売日: 2003/11/01メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 13回この商品を含むブログ (45件) を見る

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上橋菜穂子さんの作品は「守り人シリーズ」が有名ですが、これもすごく心に残る物語でした。

読み始める前に装丁に目がいきました。
表紙は狐が飛んでいる(浮いている)絵。
ちょっと暗い空の色と桜並木が印象に残ります。

裏表紙はきれいな青空で桜の花びらが散っている様子が描かれています。
最初はただ美しいと感じましたが、読了後この絵を見るとなるほどと思います。
傷ついた狐の野火が小夜に命を救われるところから物語が始まります。
小夜は里の外れで祖母とひっそりと暮らしていましたが、野火を救ったことがきっかけで小春丸という少年と出会います。
小春丸はある理由から森陰屋敷に閉じ込められていたのです。

人の思いを感じる<聞き耳>の才がある小夜の封印された過去。
誰にも存在を知られてはいけないという小春丸の正体。
呪者に使い魔にされた霊狐の野火。
彼らを軸にして国同士の争いも絡めながら物語が展開していきます。

争いって何だろう?傍から見れば簡単に解決できそうなのに、争っている本人達には糸が複雑に絡まっていくばかり。
憎しみの連鎖が犠牲を生み、どんどん悲しみを増やしていく・・・
物語なんだけれど深く感情移入して読んでしまいました。

小夜は芯の強い心の優しい女性でした。
でも野火も同じくらいかそれ以上に優しいと思いました。
他の登場人物もみんな味があって印象に残っています。
結末もすごくよかったです。




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北原杏子 > 私もこの本は大好きでした。装丁もすてきだったし。感情移入できるような物語、いいですよね。またこんな話を読みたいです。「守り人」もいいけれど。 (2005/08/17 00:38)
ぱせり > 上橋菜穂子さんの本はこれしか読んだことがないんですけど、とてもよかったです。装丁、すてきですよね。傍から見れば簡単に解決できそうなのに争う争い、ほんとになんなんだろう。関係ないのに巻き込まれていつのまにか渦中にいる人がかわいそうでした。結末、よかったですよね♪ほんと、こんな話、また読みたいです。 (2005/08/17 07:39)
three bells > 野火、切ないですよね。上橋さんにはここからはまりました。 (2005/08/18 12:23)
すもも > 結末・・・、本当に印象的でした。一方で、守り人シリーズも、こんな切ない終わり方だったら辛いなと、今から心配してたりします(^_^;) (2005/08/18 20:13)
トントン > 北原杏子さん、素敵な装丁でしたよね♪どっぷり感情移入して読める物語ってそう多くないけど、そんな物語に出会うととてもうれしく思います。「守り人」もますます楽しみな展開になっていきそうですね〜
ぱせりさんはこの本が初上橋さんだったんですね。読みながら争いについて色々考えている自分がいました。現代も争いがなかなかなくならないですよね・・・みんな平和な世の中を望んでいるはずなのに。深く心に響く物語でした。
three bellsさんはこの本から上橋さんにはまったんですね。野火、切なかったですが結末はよかったなあと思いました。
すももさん、守り人シリーズはまだまだ続きそうですがどんな結末かドキドキですね。ずっと追いかけていこうと思います。 (2005/08/18 21:54)