はぴの本棚

2003年からの読書日記

ルチアさん作者: 高楼方子,出久根育出版社/メーカー: フレーベル館発売日: 2003/05/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 17回この商品を含むブログ (12件) を見る

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まず特徴ある表紙が目に飛び込んできます。
異国風の少女が二人。双子みたいにそっくりです。
夢見るようなトロ〜ンとした、うっとりした大きな目が印象に残ります。
一人の子は手に水色の石のようなものを持っています。
最後まで読むとこの絵が本当に物語にぴったりだと分かりました。
出久根育さんの絵は、一度みたら忘れられないです。
北原杏子さんに教えていただいたこの本、ファンタジックで挿絵もとっても素敵でした!

この少女達は姉妹でスゥとルゥルゥという不思議な名前。
母とお手伝いさん二人とたそがれ屋敷と呼ばれている家に住んでいます。
父は外国航路の船に乗る仕事をしていて最近はしばらく帰ってきません。

そこに来た新入りのお手伝いさんがルチアさんです。
ルチアさんは卵のように丸くてつるんとしていて、声もフウフウという笛の音に似ているという変わった人。
みんなから気の毒な人だと聞くわりには、いつも幸せそうに見えるし何事にも動じない感じがします。

ルチアさんは、いつも水色のコートを着て出勤しています。
でもコートを脱いだ後も水色っぽくぴかぴかして見えるのが不思議。
ルチアさんはなぜか少女達にだけ光って見え、それが二人が大切にしている水色の石にそっくりなのでした。

水色の石は父からもらった遠い国のお土産です。
ルチアさんは水色の石に関係はあるのか?
スゥとルゥルゥはルチアさんの帰りをこっそりつけていくことにします。
そこでルチアさんの娘のボビーと知り合い、共に秘密を探り始めるのですが・・・
ルチアさんが光っている理由が少しずつ明らかになります。

とっても不思議な物話でした。
ちょっと暗めのトーンですが、この雰囲気けっこう好きです。
双子のようにそっくりだったスゥとルゥルゥですが、成長してからは全く別の人生を歩むことになります。

「どこか遠くのきらきらしたところ」って人によって違うんでしょうね。
自分にとっての幸せも。
色々考えてしまった物語でした。




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ぱせり > 不思議な雰囲気のあるお話ですよね。ほんとに、絵がぴったりで、一度みたら忘れられないですよね。
>「どこか遠くのきらきらしたところ」って人によって違うんでしょうね。
あ、そうですよね。これが一番幸せな道、と言い切っていないところも好きです。 (2005/05/05 18:17)
北原杏子 > トントンさんも読まれたのですね。この本は図書館で借りたのですが、いま思い出しても不思議なお話でした。
私も心のなかに「どこか遠くのきらきらしたところ」をずっと持っていたいものだと思いました。 (2005/05/07 23:14)
トントン > ぱせりさん、そうですよね!これが一番幸せな道、と言い切っていなくて読者がふと考えてしまうところがいいんだと思いました。絵と文章がぴったりでしたね♪
北原杏子さん、不思議だけどすごく印象に残る話でしたね。あの水色の石、一度見てみたいものだと思いました。「どこか遠くのきらきらしたところ」私もずっと持っていたいです! (2005/05/08 22:25)