はぴの本棚

2003年からの読書日記

時の旅人 (岩波少年文庫)作者: アリソンアトリー,Alison Uttley,松野正子出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2000/11/17メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 49回この商品を含むブログ (28件) を見る

(181)
時をテーマにした物語に最近はまっています。
カルミアさんおすすめのこれも素敵な一冊でした。

主人公のペネロピーはロンドンに住んでいる病弱で空想好きな少女です。
ペネロピーは病弱でよく体調を崩すので療養のため、兄と姉と一緒に母方のサッカーズ農場に滞在することになります。
農場の豊かな自然、素朴であたたかな暮らし。
ペネロピーはどんどん元気になっていきます。
バーナバスおじさんとティッシーおばさんが優しい人柄で素敵です。

ある日ふとしたきっかけでペネロピーは、16世紀のサッカーズに迷い込みます。
当時そこにはバビントン一族が住んでいました。
一族は裕福で土地をたくさん所有しており、豪華な暮らしをしていましたが生まれ育ったサッカーズをとても大切にしています。
16世紀はちょうど領主のアンソニーが囚われの身であるスコットランド女王のメアリーをかくまおうとしている時代でした。

ティッシーおばさんからバビントン一族の事件を聞いているペネロピーは、その試みが失敗することを知っていますがなんとか手助けしたいと思います。
歴史は変えられない、悲劇は近づいてくる・・・
それを伝えられないペネロピーのやりきれない気持ちがよく分かりました。

今と16世紀を行ったりきたりする描写がとても自然でうまいです。
私もペネロピーと一緒に現在と過去を夢のようにさまよっている感じがしました。
ティッシーおばさんの先祖だろうシスリーおばさんも最初は驚きますが、愛情一杯でペネロピーを迎えます。
毎回突然いなくなっては現れるペネロピーですが、バビントン屋敷の人たちは当然のように受け止めているのが不思議でした。

あちらの世界で何時間も過ごしていても戻ると全然時計は動いていなかったこと、現在にあるものは過去に持ち込めないこと、歴史の流れはどうしても変えることはできないこと・・・というのは時をテーマにしたどの小説にも共通しているのかなと思いました。

これからも時をテーマにした作品を色々読んでいきたいです。




                                                                                                                                                              • -

ぱせり > この本、わたしも好きです。でも、かなり忘れています。トントンさんの感想を読みながら、少しずつ思い出しています。これもいずれ再読したいです。
「歴史は変えられない、悲劇は近づいてくる・・・」ぺネロピーと同じように、結末が見えているだけに、さびしかったです。 (2005/05/01 09:25)
カルミア > トントンさん、こんにちは。ワハっわたしの名前が(#^^#) …すみません、おすすめしておきながら途中までしか読んだことなくて。岩波と、評論社からもでている…? いつか読みたいです。下の高楼方子さんのも良さそう! 知りませんでした〜。時計塔に緑の園!ワクワク。探してみます♪ (2005/05/01 14:59)
トントン > ぱせりさん、未来を知っているんだけど、どうすることもできないペネロピーの思いが伝わってきて、読みながら私も辛いなと感じてました。本当に切ないです!よかったら再読してみてくださいね。
カルミアさん、けっこう分厚い本でしたがとてもよかったです♪評論社からも出てるんですね。訳者が違うのかな?
高楼さんの本は始めて読んだのですがとても面白かったですよ。カルミアさんもこの世界お好きなんじゃないかな?と思います。ぜひ読んでみてくださいね! (2005/05/01 22:39)
チピー > トントンさん、過去のところにおじゃまいたします。時の旅人、やっと読むことができました。「夢のようにさまよっている感じ」、そういう感じがしましたね。トントンさんのおっしゃるとおり、悲劇は変えられないのに妨げることがかなわないペネロピーの気持ちが伝わってきました。 (2006/07/13 19:10)
トントン > チピーさん、こちらまでありがとうございます♪1年前に読んだのにけっこう忘れてきている私です。「夢のようにさまよっている感じ」チピーさんもそう思われたんですね。タイムものに共通している歴史は変えることができないというのも切ないなと思いました。いつか再読したいなと思います。 (2006/07/15 07:16)