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2003年からの読書日記

つくも神 (ポプラの森)作者: 伊藤遊,岡本順出版社/メーカー: ポプラ社発売日: 2004/11/01メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 6回この商品を含むブログ (12件) を見る

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カエルが黄色い児童用のかさを持って走っている表紙がかわいいです。
伊藤遊さんは『えんの松原』がすごくよかったので、今とても気になっている作家の一人です。
これは現代ものでまあまあ面白かったのですが、残念ながら『えんの松原』を読んだ時ほどの感激はなかった・・・
私が時代ものを好きだということもあるんだけれど、次読むなら『ユウキ』より『鬼の橋』かな。

つくも神達はどことなくユーモラスでかわいいなあと思いましたが、実際出てきたら不気味かもしれません。

小学生のほのかは仲良しグループ(だと思っていた)友達関係に疑問を持ち始め、ちょっと非行に走っている兄のことで最近家庭がぎくしゃくしています。
ある日マンションのゴミ捨て場で放火事件がありそれ以降、ほのかの周辺で不思議なことが次々と起こります。
エレベーターに変な置物が出現したり、真っ暗になって見知らぬ声が聞こえたり。
隣の家のおばあさん宅にある土蔵が関係しているみたいなのですが・・・

友達のこと、兄の非行のこと、親子関係、マンションの主の嫌なおばさんのこと、不思議なつくも達のことなど内容はかなり盛りだくさんでした。

女の子の友達ってなぜかグループになるんですよね。
今は一人でも全然平気ですが、当時はグループに属していないとなんだか不安な気持ちになったり、仲間はずれになった気分だったのを思い出しました。

兄の雄一はタバコを吸ったり、喧嘩で怪我をしてきたり非行っぽいんだけれど本当はそんなことを止めたいと心の底で感じていたのかな?
つくも神のおかげで昔のことを思い出し、最後には非行の道から抜ける選択をしたように思いました。

長い時を経て魂を宿した道具たちを<つくも神>というんですね。
「つくもになる」という表現が面白かったです。
古い道具や置物ってけっこう不気味な感じもするけれど、人の思いを汲みとっていくうちに魂を宿すようになるのかなと思いました。
物を大切にしたいなと自然に感じられる物語でした。





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ぱせり > こんにちは。古い道具や置物、確かに不気味な感じがしますよね。
>人の思いを汲みとっていくうちに…
そうかもしれないと思います。こういう考え方、好きです。物を大切に、そう思います。 (2005/04/03 10:16)
トントン > ぱせりさん、読んでいるとかわいいんだけど、実際につくも神が出てきたら戸惑ってしまうでしょうね。壊れてしまったらすぐ捨てて新しいものを買える世の中だけど、もっと物を大切にしたいなと思いました。 (2005/04/04 10:22)