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2003年からの読書日記

星空から来た犬 (ハリネズミの本箱)作者: ダイアナ・ウィン・ジョーンズ,佐竹美保,原島文世出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2004/09/10メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 1回この商品を含むブログ (4件) を見る

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これはジョーンズさんのかなり初期の頃の作品だそうです。
私が読んだジョーンズさんの本はハウルの2冊のみですが、雰囲気が違う感じはなんとなく分かりました。

主人公は無実の罪を着せられた星人シリウス
裁判の結果、犬に姿を変えられ地球に送られます。
魔法の道具ゾイを見つけ出せば元に戻れるというのですが、子犬になってしまったシリウスは無力な存在。
記憶もあやふやになっています。
川に流されているところをキャスリーンという少女に拾われ、ダフィールド家で飼われることになりますが・・・
シリウスはゾイを見つけ出すことができるのでしょうか?

キャスリーンはとても心の優しい少女なんだけれど、アイルランド人というだけで居候している家で肩身の狭い思いをしているのがやり切れない気持ちになりました。
シリウスを飼う代わりに家の用事を引き受けなければならなかったり、ダフィールドさんの妻ダフィにこれでもかというくらいいじめられるのはかわいそうでした。

だから後半悲しい出来事をきっかけに堪忍袋の緒が切れてダフィのつぼをめちゃくちゃに割るシーンでは、「よくやった」という感じでこっちまでスッキリ!

シリウスがゾイを探さなければいけないのに、犬としての本能が勝ってしまうのが面白いです。
ゴミをあさってしまったり、訳の分からない日々(発情期だった)に戸惑ってしまったり・・・犬の生態がとっても魅力的に描かれています。
ジョーンズさんはかなり犬好きなのかも。

犬や猫をはじめ、動物は言葉が話せないけれど時々分かってるのかな?と思えるしぐさや表情があるのでキャスリーンやスミスさんがシリウスを理解しているというのは分かるなと思いました。

後半の不思議な犬達と出会う位からどんどん面白くなり、ページをめくるスピードが一気に早くなりました。
結末は悲しいものだったけど仕方ないのかな。
>「ほんとうに必要なら、なにかしら道は見つかるものですよ」
というスミスさんの言葉が印象に残りました。

次は『花の魔法、白のドラゴン』にいきます。
魔法の話が好きなので自分がどう感じるか楽しみです。
返却日に間に合うかちょっと心配。

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北原杏子 > 私も犬のシリウスが魅力的に描かれているのが気に入りました。ダフィのつぼ割るシーンはサイコウでしたよね。私も早くまたジョーンズさんの本に戻りたいなあと思うこの頃です。「花の魔法、白のドラゴン」もおもしろそうですよね。 (2005/03/02 23:16)
ときわ姫 > あのつぼ割り良かったですね。我慢の限界に来たとき、どこかでそれを吐き出さないと人間壊れてしまいます。あれでふっきれたキャスリーンがますます好きななりました。結末で、ソルが言ってたのはこういう事だったのかと分って悲しかったけれど、納得もできました。都合が良すぎるラストでなくてかえって感動しました。 (2005/03/03 09:44)
トントン > 北原杏子さん、そうそう、「犬の生活ってこうなんだろうなあ」って想像できてすごく興味深く読めました。つぼのシーンは読者もすっきりしますよね。「花の〜」は返却日まで読めるか怪しいですが頑張って読みたいです。

ときわ姫さん、どこかで吐き出すことって大事ですよね。よく分かります!キャスリーンは耐えるだけの子じゃなくてよかったです。ラストは考えさせられましたが、ときわ姫さんが「都合が良すぎるラストでなくてかえって感動」はなるほどそうかもしれないと思いました。 (2005/03/04 11:55)
すもも > 犬から見た人間たちの描写が、おもしろかったです。わたしもときわ姫さんのレスを見て、そうだなあ、って思いました。初期の作品ですが、一筋縄では読めない作家さんの片鱗が見えてますよね。 (2005/03/05 16:22)
トントン > すももさん、一筋縄では読めない作家さんの片鱗・・・分かります。都合のいいラストにしようと思えば簡単にできるはずですもんね。ジョーンズさんの作品は未読がたくさんあるのでこれからとても楽しみです! (2005/03/07 22:15)