はぴの本棚

2003年からの読書日記

どろぼうの神さま作者: コルネーリアフンケ,Cornelia Funke,細井直子出版社/メーカー: WAVE出版発売日: 2002/04/01メディア: ハードカバー購入: 3人 クリック: 9回この商品を含むブログ (31件) を見る

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羽のあるライオン、金でできた教会、天使や竜や水の精がいると言われている美しい都市ヴェネツィア
ファンタジーでは取り上げられるのが多い都市のようですが、私は初めてヴェネツィアが舞台の物語を読みました。

探偵ヴィクトールのところにある日ハルトリープ夫妻が依頼をしに来ます。
夫妻はプロスパーとボーという兄弟を探して欲しいというのですが、彼らは幼い弟のボーだけを引きとりたいと思っていて兄は寄宿舎に入れようとしていました。
お互い離れたくない兄弟はドイツからはるばるヴェネツィアに逃げてきたとのこと。
兄弟にとってヴェネツィアは、亡くなった母から聞かされていたおとぎの国のような町でありずっと憧れていた場所だからです。

兄弟は家を出て暮らしている少年少女たちと仲間になり、閉館した廃墟のような映画館で暮らすようになります。
「どろぼうの神さま」と呼ばれる謎めいた少年が盗んだものを売ってくらす生活、自立心旺盛な個性的な少年少女たちとの友情。
しばらくは子どもだけの自由な生活が過ぎていったのですが・・・

大人になりたい子ども、子ども時代を取り戻したい大人、子ども達の友情、家族との関係、不思議な冒険、謎など色々なテーマが出てきました。

最終的にはみんな一件落着だけれど、「どろぼうの神さま」の選択は本当によかったのかな?
ちょっと複雑な気分で読み終えた感じです。

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ときわ姫 > 私も最後で、ほんとにそれでいいの?と、なんともいえない気持ちでした。秘密を知ってるプロスパーがささえてくれるかな。 (2004/07/18 10:27)
トントン > なんだか微妙な終わり方でしたよね・・・「どろぼうの神さま」が恵まれているようでいて一番寂しかったのかなと思い切なくなりました。 (2004/07/19 11:36)
ぱせり > こんばんは。私のところへ来てくださってありがとうございました。この本、書店で見ました。買おうかなあと思いつつ、「いいや、図書館で…」と帰ってきました。微妙な終わり方なんですね。 (2004/07/20 19:53)
トントン > ぱせりさん、微妙というか私はある人物の選択した運命にちょっと納得がいかなかったんですよ。子どもたちが生き生きしててとても面白いのでぜひ読んでみてくださいね♪ (2004/07/20 22:44)


[★★★★][日本の作家(サ行)]

生まれる森

生まれる森

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島本さんの小説の雰囲気が私はやっぱり好きみたいです。
ミヒャエル・ゾーヴァさんの表紙絵も素敵。なんだか淡くて、でも深くて癒される絵です。

失恋してからしばらく立ち直れない女の子が主人公。
その痛手からボロボロになり誰の子か分からない妊娠もしてしまい、堕胎します。
そのせいで家族ともぎくしゃくしてしまい、
旅行中の友達のアパートに短期間でしばらく住まわせてもらうことに・・・

高校時代のクラスメイト、キクちゃんと友情を深めていったり、その兄雪生との出会いで失恋が少しずつ癒されていく様子がよかったです。
周りの人たちが皆優しい。
最終的に立ち直るのは本人の力だけれど、周りのあったかい支えも大きいと思いました。

印象に残った雪生の言葉です。

>「自分が他人を幸福にできるなんて発想は、そもそも行き過ぎなのかもしれないよ」

「幸せにしたいと思うことは、相手にとっても救いになる。けど、幸せにできるはずだと確信するのは、僕は傲慢だと思う」

島本さんの次作も期待しています。

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暁 > こんばんは。自分も島本理生好きです。デビュー作からずっと読んでます。ときに彼女に文章にハっとさせられることがありますが、どうも結末が甘いように感じてます。でも好きです。綿矢さん、金原さん受賞時にノミネートされてましたよね、この本。 (2004/07/18 19:11)
EKKO > 「リトル・バイ・リトル」も「シルエット」も良かったのでこの本も是非読みたいと思っています。トントンさんの評価が高いので楽しみです〜。 (2004/07/18 23:12)
トントン > 暁さん、私は自分より若い作家の小説って敬遠してしまう方なのですが島本さんの文章はとても好きなんですよ。綿矢さん、金原さんの本は結局まだ読んでないのでいつか読みたいと思ってます。
EKKOさん、島本さんの文章とか雰囲気が好きなので評価は少し甘めかもしれません。前作が気に入ったならこちらも好みだと思いますのでぜひ読んでみてくださいね。 (2004/07/19 11:40)
まゆ > 島本さんのはこれしか読んでませんが、よかったです。綿矢さんの「蹴りたい背中」がイマイチぴんとこなかったので、これもドキドキだったのですが。「リトル・バイ・リトル」も読みたいです。 (2004/07/19 17:28)
トントン > まゆさん、私は島本さんの作品の中でこれが一番好きかもしれないです。「リトル・バイ・リトル」もぜひどうぞ! (2004/07/20 22:46)