はぴの本棚

2003年からの読書日記

気仙沼ニッティング物語:いいものを編む会社作者: 御手洗瑞子出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2015/08/19メディア: 単行本この商品を含むブログ (7件) を見る

震災後の気仙沼で編み物会社を起業! 
「地方」だからこそ、できること。
被災地への最大の貢献は仕事を生み出し、生活の循環を取り戻すこと。
マッキンゼーを経てブータンの公務員、そして今度は気仙沼へ。
傷跡がまだ残る現地に単身入った著者が、下宿しながら起業した会社は、初年度から黒字となり、市に納税を果たすまでに。
編み物で「世界のKESENNUMA」を目指し、毎日てんやわんや奮闘中!

ずっとやりたかった編み物(棒針編み)を去年から初めてすっかりハマってしまいました。
作ったのはミトンばかりですが、続けていきたい趣味になりそう。
そんな時、この本を知り読んでみました。


本を読む前に気仙沼ニッティングの商品を検索したら、一番安いエチュードでも75,600円、オーダーメイドのファーストモデルMM01は151,200円もする・・・あまりの高額にびっくり!
高すぎるのでは?と思いましたが、本を読んでいくとだんだん気持ちが変わってきました。
最高の毛糸を作るところから始まって、デザイン、編み手さんの技術力、丁寧なオーダーメイドなど随所にこだわりを感じるし、一生ものだと考えれば価値ある値段なのかも。
でも、私の金銭感覚からいうとやっぱりかなり高い(笑)
いつか欲しい憧れの商品になりました。


>手編みの一番のうれしさというのはやはり、「だれかが自分のために編んでくれた」ということそのものです。

これは本当にそう思います。
編んだものを家族にプレゼントしたり、自分も愛用していますが身につけるとなんとも幸せな気持ちになります。
他にも編み物を楽しんでいるからこそ共感したり、分かる部分もあってうれしかったです。


また気仙沼の人達の温かさが感じられるところもたくさんあり心に残りました。

その中でも御手洗さんが仕事で大変なことが重なって気持ちが疲れていた、下宿している斉吉家のばっぱがかけた言葉はとても響きました。


>「大丈夫、越えられるものしか来ないですから。大変なことがあっても、いかにして自分の心を前向きに平穏に保つかというのが、仕事なんです」



毎年3月11日が近くなると急にやって来る多くの報道系メディアへの違和感について書かれていたところでは、立ち上がろうとする気持ちを再び踏みにじるような行為になんとも悲しい気持ちになりました。

>現場は報道で見るよりも、ずっと明るくたくましいです。


きっとそうなんでしょうね!
気仙沼ニッティング、「誇り」を持って100年といわずもっともっと続いていく会社になりますように。