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2003年からの読書日記

源氏物語 紫の結び〈3〉作者: 荻原規子出版社/メーカー: 理論社発売日: 2014/01/01メディア: 単行本この商品を含むブログを見る

女三宮の降嫁により、紫の上は源氏との愛にも世の中にも諦念を持つようになりました。
そして、ひとつの密通事件が物語の様相を変えていきます。
不義の子を抱きながら、源氏は晩年になって巡ってきた宿命を思うのでした。


ゆっくりゆっくり、亀の歩みの私でもついに読了・・・面白かった!
登場人物が多く名前が変わったりでごっちゃになってしまったりもしたけれど、1000年以上前の物語を味わえたことがうれしかったです。


たくさんの女性と関係を持った光源氏ですが、結局紫の上の存在が一番大事だったということに気づいたんでしょうね。
遅すぎましたが、亡くなってしまってから実感するものなのかもしれません。


ハッピーエンドではなさそうだとは思っていたけれど、光源氏の印象が読み進めていくごとに変わっていき、晩年は悲しい感じ。
「雲隠」であっけなく終わったことに驚きました。

出家した女三の宮や若くして亡くなってしまった衛門督もかわいそう。



>この物語は、読まない人から思われているほど、理想の美男子にうっとりするための読み物ではありません。

「おわりに」で書かれている文章ですが、読む前は私もそう思っていた一人(笑)
今回読む機会が巡って来て本当によかったです。

でも『紫の結び』では省かれている帖もけっこうあるとのことで挑戦してみたい気もします。
ダイジェスト版でも十分内容の濃い3巻だったので、これを全部読み通すとなるとかなりのヨイショがいるはず。


荻原さんの完訳を読めたら一番なんですが・・・
瀬戸内寂聴訳は母にすぐ借りられるけれど、少し読んで挫折した苦い経験があるので他のを手に取ってみたいです。
林望さんか田辺聖子さんがいいかなと思っています。