兼好さんの遺言: 徒然草が教えてくれる、わたしたちの生きかた作者: 清川妙出版社/メーカー: 小学館発売日: 2011/03/28メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 1回この商品を含むブログを見る
母から借りました。
大好きな清川妙さんの本。
タイトルの「遺言」は遺書の言葉ではなく、私たちに教えてくれた数々の言葉とのこと。
古典は難しい印象がありましたが『徒然草』を授業で習った時、「ずいぶん昔の文章なのになかなか面白いな」と感じたことを覚えています。
今回再び読む機会が巡って来てうれしかった!
記憶に残っていた段もいくつか登場して懐かしかったです。
優しく読み解いて下さるおかげで、とても分かりやすく親しみを持って読むことができました。
今に通じる知恵や教えなどがたくさんありました。
「紀寿」「生き形見」などの言葉も素敵でした。
(印象に残った著者の言葉)
>それぞれの人の表情は、その人が、これまでの人生を、どんな心で、どう生きてきたかということを、如実に、克明に、また精緻に、物語っているのである。〜生まれつきの美醜よりも、その人が人生をていねいに扱ってきたかどうかが、表情に透けて見えるのである。
>ひとりでいること、旅に出ること、それは、自立することであり、自分を発見すること。そして、自分の人生を愛す ることでもあるのです。
>旅というのは、ただ離れた土地に移動するということだけではない。
本を読む。映画を観る。芝居を観る。音楽を聴きに行く。博物館に行く。心を動かし、出かけていくこれらのこと は、大きくいえば、みんな<日常のなかの旅>である。
>生まれ持った才は問わない。ひたすら、素直に、前向きに、まじめに、そしてなにより大事なのは、続けること。こ れが、なんの道においても、成就のコツだ。
>叶えられなかったことを嘆かず、拾いものだったことを心から喜ぶーこんな<融通無碍の心>こそ、生きていくうえ で、きわめて大切なことなのだ。
>心の感性は、学びつづけることで、いくらでも深く、広くすることができる。
素敵だと思った『徒然草』の文章。
>ひとり燈火のもとに文をひろげて、
見ぬ世の人を友とするぞ、
こよなう慰むるわざなる。 第13段
>日々に過ぎ行くさま、かねて思ひつるには似ず。
一年の中もかくのごとし。
一生の間も、また、しかなり。 第189段
>何ぞ、ただ今の一念において、
ただちにする事の甚だかたき。 第92段
>存命の喜び、
日々に楽しまざらんや。 第93段
40代で物書きの道に出発し、現在までそのお仕事を続けていること。
とても素晴らしいと思います。
私も当時の著者に近い年齢なのもあり、親近感を持ちました。
上橋菜穂子さんの『物語ること、生きること』でも感じましたが、新しいことに挑戦するか揺れている今、さらに力をもらった感じです。
自分にできるか分からないけれど・・・一歩を踏み出してみようと改めて思えました。
> 徒然草も、古典だからといって、ただ表面だけを撫でるように読んだり、文法ばかり気にしたりするのは、つまらない読みかた。どうか、五感を使ってゆっくり深く味わい、作者の気持ちと呼応しながら読んでいってほしい。
五感すべてを開放して、作者と喜びを共有してこそ、本物の教養ある読者となれるのだから・・・・・・。
肩の力が抜ける素敵な文章だと思います。
五感を総動員しながら、他の古典も少しずつ読んでいきたいです。