特装版 思い出のマーニー作者: ジョーン・G・ロビンソン,松野正子出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2014/05/16メディア: 単行本この商品を含むブログ (9件) を見る
海辺の村の老夫婦にあずけられたアンナは,金色の髪の少女マーニーと出会います。
2人は毎日ひみつの遊びを楽しみますが,村人はだれもマーニーのことを知らないのでした。
――ふしぎなめぐり合わせを体験した思春期の少女の物語。
巻末に,作者の長女によるあとがきと,河合隼雄「『思い出のマーニー』を読む」を収録した美装本。
観たいと思っていた映画は結局タイミングが合わず残念でしたが、原作が読めてよかったです。
最初はなかなか読み進まなくて挫折しそうになったけれど、物語後半には劇的な変化が!
訳者松野正子さんのあとがきにもあるように、
>はじまりの部分が少し読みにくいかもしれないけれど、どうぞ続けて読んでいただきたいー、
この言葉を信じて頑張って最後まで読め大満足。
マーニーの存在がとても謎めいていて不思議でした。
実在する人物というのが後半分かり、アンナの幻想だとも言い切れず・・・最後まではっきりしなかったけれどそれがいいのかも。
幻想と現実が入り混じった魅力のある物語でした。
自分は外側の人だと思って周りに頑なに壁を作っていたアンナが色々な経験をして成長していき、最後には外側か内側かは自分自身の中でどう感じているかによることだと気づいたところには感動しました。
>「ふしぎなことだけれど、愛されるということが、わたしたちが成長していくのを助けてくれる大切な条件の一つなんですよ。〜」
アンナをまるごと受け入れてくれたペグ夫妻の存在はとても大きなものだと思いました。
その他、リンゼー家の人々やミス・ペネロピー・ギル(ギリー)も。
そして最後にはプレストン夫妻の愛情も実感できたようで本当によかったです。
収録されていた河合隼雄さんの文章がとても深くて、自分では気づかなかったことを解説してくれるようでした。
アンナはたましいを病んでいて、他人のたましいを癒すためには・・・という話で、
>その人をまるごと好きになることと、できるかぎりの自由を許すことが必要なのである。
これは本当にそうだと思いました。
著者の娘さんのあとがきもよかったので、今回の特装版で読めてラッキーでした。
思春期の子ども達(特に女の子かな)にもぜひ読んでほしいです。