はぴの本棚

2003年からの読書日記

虹の岬の喫茶店作者: 森沢明夫出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2011/06メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 7回この商品を含むブログ (19件) を見る

岬の先端に建つ喫茶店を一人で切り盛りしながら、何かを待ち続けるおばあさん。
その喫茶店を訪れる、心に傷を抱えた人々。
彼らの人生は、喫茶店での一期一会によって、変化し始める。

森沢明夫さん。
ずっと気になっていましたが、近々公開予定の映画『ふしぎな岬の物語』の予習も兼ねて手に取ることができました。
モチーフとなった喫茶店もあるんですね!

語り手が毎回変わるので新鮮な気持ちで読めました。
客の心を前向きに変える力を持っている柏木悦子さんの美味しいコーヒー、一度味わってみたいです。
「美味しくなれ、美味しくなれ」コーヒーはもちろん料理でも念じながらやってみよう(笑)


パソコンで物語に登場する音楽を聴きながらの読書もでき、より楽しめた気がします。
スピッツは若い頃とても好きでよく聴いたので懐かしかったです。


どの物語もよかったけれど、特に印象的だったのは泥棒との交流を描いた「ザ・プレイヤー」。


>「人間って、生きているうちに色々と大切なものを失うけど、でも、一方では『アメイジング・グレイス』を授かっているのよね。そのことにさえ気づけたら、あとは何とかなるものよ」


「生きるって、祈ることなのよ」


「過去を懐かしむことが出来るってことは、あなたたち二人はきっと、いまの自分自身をちゃんと大事に思えてるってことだと思うわ」


悦子さんの心に沁みる言葉は本当に哲学者みたい。
彼女自身が色々な経験をしてきての言葉だからお客さん一人ひとりに届くのだと思いました。


他の森沢作品もぜひ読んでみたいです。