はぴの本棚

2003年からの読書日記

人生のお福分け作者: 清川妙出版社/メーカー: 集英社発売日: 2014/01/06メディア: 単行本この商品を含むブログを見る

92歳の今も、執筆や、講演、講座などで活躍する清川妙氏。
ひとり暮らしの元気の秘密は、筋金入りのポジティブ思考と、愛する古典と、大好きな仕事にある。
人生の極意に満ちた宝石箱のようなエッセイ集。

大好きな清川妙さんの本ということで大切にゆっくり読みました。


まずタイトルの「お福分け」という言葉がいい♪
私は数年前に知って以来、使うようになりました。
おすそ分けよりも温かい雰囲気がして好きな言葉です。


>古典とは、昔の人が古めかしい難しいことを言っているのではなくて、その当時の賢い人が、選りすぐったことを選りすぐった言葉で書き残してくれた本。だから、いつもそばに置いて、友達みたいに言葉を交わすのが、古典の読み方なのだ、と、そのとき悟ったのだった。

この文章から古典というだけで構えなくてもいいんですよと優しく背中を押してもらえたような気がします。
著者の仲良し古典『万葉集』『枕草子』『徒然草』はぜひ読みたいと思います。


相聞歌について書かれているところも素敵でした。

>相聞の心は、けっして古めかしいものではなく、現代にも生きる、人へのふかぶかとした想像力なのだと思う。

和歌は古典以上にまだまだ敷居が高い分野なのですが、少し興味が湧きました。


調べ虫の話もよかったです。
調べて分かった時の快感、気持ちよさは愉しいこと。
共感しつつ読みました。

花筐(はながたみ)、束の間なども勉強になりました。



>他人がやっているのを見て、カッコいいとか、うらやましいとか、できると便利だろう、というような動機で始めたものは、けっして長くは続かない。繰り返して言うが、大好きという心の芯の、やむにやまれぬ動機こそ大切なのである。


最近ラジオ英語を少しずつ聞き始めた私。
やむにやまれぬ動機には遠いけれど、英語の絵本が無理なく楽しめるようになるのが目標です。
いつか著者のように海外ひとり旅ができるか分からないけれど、勉強を続けたいと思いました。


>取り越し苦労をするのは、時間の無駄。悪いことが起こるなら、起こった時、考えて対処する。


>年を重ねるということは、暮らしをこなすことにおいて、何や彼やと手がかかり、世話の焼けることが多い。
 でも、こまやかに手をかけて、日々の暮らしをどうにかうまくマネージしていけば、若い日よりもむしろ、日々の刻みが深く、濃密な気さえして愉しい。


著者の本を読むといつも元気をもらえる文章がたくさん。


>こうして苦労して原稿を書き続け、読者に読んでいただくのが、私の〝お福分け〟なのだ、と。

素敵なエッセイのお福分けをいただいて幸せな気分で本を閉じることができました。
これからもお元気でたくさんの本を書き続けてほしいです。


(読みたくなった著者の本)
『兼好さんの遺言』
『清川妙が少女小説を読む 「なりたい自分」を夢みて』

映画『クレアモントホテル