はぴの本棚

2003年からの読書日記

ソロモンの偽証 第III部 法廷作者: 宮部みゆき出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2012/10/11メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 10回この商品を含むブログ (73件) を見る

8月15日。遂に開廷日となり、5日間にわたる裁判が始まった。柏木卓也の家族、警察、不明だった告発状の差出人をはじめとする様々な証人が登場し、事件の謎の解明は二転三転する。同時に、生前の柏木卓也像がどんどん浮き彫りになる。しかし、最後の、あまりにも意外すぎる証人の登場に、法廷は震撼した。この裁判は仕組まれていたのか――。証人の口から明かされる前年のクリスマスイヴの知られざる状況とは……。驚天動地の完結編!


ついに読み終わりました・・・放心(笑)
どの巻も700ページを超える大作だったけれど、今回の第Ⅲ部が一番密度が濃く最後まで引っ張られるような読書だったと思います。
書き上げるのに10年かかったとのことで重みを感じました。


真実を知りたいと思って始めた学校内裁判ですが、こういう結末だったんですね。
最後の証人、判決もほぼ予想通り。
でも、物語がどう着地するのかは分からなかったのでページをめくる手が止められませんでした。
すごい中学生達ばかりで現実にはあり得ないかもという気持ちも湧いてきましたが、逆にとてもリアルな感じもしました。


ソロモン王というのは有名だけど名前を知っているくらいだったのでずっとタイトルも気になっていました。


>ソロモン王というのは、神託を受けて人を裁くことを許された人物。それを「偽証」で受けたタイトルですが。


>最も知恵あるものが嘘をついている。最も権力を持つものが嘘をついている。この場合は学校組織とか、社会がと言ってもいいかもしれません。あるいは、最も正しいことをしようとするものが嘘をついている、ということでしょう。


こういう思いを著者は込めて書いていたんですね。
読了後、新潮社の特集ページのインタビューを読んでなるほどと思いました。


最後の「2010年、春」があったのもよかったです。
いい余韻となって残りました。
学校内裁判を経て彼ら一人ひとりが何を思い、感じ、どんな大人に成長したんだろう?
色々な思いを抱きながら本を閉じました。