はぴの本棚

2003年からの読書日記

レ・ミゼラブル〈上〉 (岩波少年文庫)

レ・ミゼラブル〈上〉 (岩波少年文庫)

レ・ミゼラブル〈下〉 (岩波少年文庫)

レ・ミゼラブル〈下〉 (岩波少年文庫)

(599)(600)

ひときれのパンを盗んだために,19年間もの監獄生活を送ることになったジャン・ヴァルジャンの物語。
19世紀前半のフランス社会に生きる人々の群像を描く大パノラマ『レ・ミゼラブル』の少年少女版。


この前、映画を観たばかりだったので記憶が薄れないうちに読めてよかったです。
普段は原作→映画の順に楽しむことが多いのですが、今回は映画で予習して正解でした。

岩波少年文庫で上下巻、中学以上対象とのことですが、けっこうなボリューム。
映画で予習できていなかったら途中で挫折していたかも。
これでもダイジェスト版とのことで全部読むとなるとだいぶ気力がいりそうです。
今回ので十分満足かな(笑)


レ・ミゼラブル(原題)は「悲惨な人々」、「哀れな人々」とのこと。
このタイトル、以前は『ああ無情』と訳されていたんですね。
恥ずかしながら大人になるまで違う作品だとばかり思っていました。


私が一番印象に残ったのは、最初に登場したミリエル司教の存在でした。
ジャン・バルジャンにとって、ミリエル司教に出会ったことがその後の人生においてかなり大きな影響を与えたのだなと改めて思いました。
彼がいなかったらどうなっていたのかと想像すると恐ろしくなります。


幸せな死を迎えたバルジャンに対し、自ら死を選んでしまったジャヴェル。
その差は何だったのだろう?
鹿島茂さんの解説にもありましたが、一方は愛する者を得て愛に目覚め、他方はそうでなかったからかなと感じました。


また、解説で貧困の問題について書かれていた部分

>『レ・ミゼラブル』は、善悪の差はありながら、いずれも、貧困ゆえに社会の荒波に翻弄される人々をえがいています。

も印象的でなるほどと思いました。


ジャン・バルジャンがパンを盗んだのも、コゼットの母ファンティーヌの人生も、コゼットの子ども時代の不幸も、テナルディエの悪党ぶりも、結局は貧困からきたものということですね。


フランスの歴史にはあまり詳しくないので理解できず流してしまった部分もありましたが、面白くかつ読み応えのある読書ができました!
機会があればぜひミュージカルも見てみたいです。