はぴの本棚

2003年からの読書日記

清川妙 91歳の人生塾作者: 清川妙出版社/メーカー: 小学館発売日: 2012/08/24メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る

(598)

母が読んですごくいいと薦めてくれたので、久しぶりに清川さんの本を手に取りました。
1921年3月20日生まれの著者。
ちょうど感想を書いているこの日が92歳のお誕生日だなんて(おめでとうございます!)すごい偶然にうれしくなりました。


「はじめに」に載っていた塾則がとても素敵だったのでメモ&手帳にもメモ。


*何事もていねいに。
*楽しみながら、すこしずつ。前を向いて。
*続けることこそ、成就の条件。知的貯金も忘れずに。
*最高の介護人は自分自身。
*思い立ったらすぐに始める。いつだって大間に合い。
*悲しいときにも、ユーモアを心に散らす。


「自分は最高の介護者」「来客は最高の掃除機」「黒羊羹を切ったように眠れます」などといったユーモアあふれる文章は相変わらず。
そして学ぶ意欲もますます盛ん。
30年以上英語の勉強を続けていらっしゃるのに加え、新たに江戸文化歴史検定の勉強も始められたそう。


吉田兼好清少納言を見ぬ世の友として「兼好おじさん」「少納言さん」と親しみを込めて呼んでいるのもいいなと思いました。
徒然草』や『枕草子』の文章が度々登場するので今度こそじっくり読んでみたいです。


一番印象に残ったのは巻末の『聞こえない葦』でした。
耳の聞こえない息子一史(いっし)さんとのことを綴った著者36歳の時の手記です。
生後3か月の時に起きた痛ましい出来事、息子さんを育てながら生まれた短歌・・・どれだけの苦労をされたのだろう?と読みながら涙が出ました。


後に、旅先の温泉で旦那さんが心不全で亡くなり、それからほどなく一史さんが膵臓がんで49歳の若さで亡くなるという辛い体験をされます。
ご自身も胃がんの手術をされ、若い頃から右目がほとんど見えなかったという話も今回初めて知りました。


著者は私にとって、強さ、しなやかさ、優しさを持っている素敵な大先輩です。
私も夢中になれるものを持ち、明るくユーモアを忘れないで学び続けていきたいです。
そして喜び(joy)で終われる人生だったと振り返ることのできる生き方をしたいと思いました。