はぴの本棚

2003年からの読書日記

オン・ザ・ライン (SUPER! YA)作者: 朽木祥出版社/メーカー: 小学館発売日: 2011/07/13メディア: 単行本 クリック: 124回この商品を含むブログ (10件) を見る

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体育会系だが活字中毒の少年侃(カン)は、仲良くなった友だちに誘われてテニス部に入ることになった。
テニス三昧の明るく脳天気な高校生活がいつまでも続くように思えたが……。
少年たちのあつい友情、そして明日への希望の物語。


2012年課題図書(高校生)です。

朽木さんの青春小説ということで楽しみにしていました。

テニスにも絵画にも詳しくないので分からない部分もけっこうありましたが、部活に燃える青春だったり、恋する気持ちは皆共通。
物語を堪能できました。


でも、ただ明るく爽やかで終わるのではなかった。
第一部と第二部で劇的に雰囲気が変わります。

ずっと続くと思われていた日々・・・
でも、一瞬で取り返しのつかない出来事が起こってしまうというのは本当に残酷だと感じました。


認知症が進んできている祖父の暮らす島にしばらく滞在することになった侃。
祖父の言葉や島に住む子ども達に救われ、少しずつ回復していきます。


>「人間は、自分で自分が赦せなくて苦しむんだ。神さんが赦してくれても、人が赦してくれても、な」


若くして重いものを背負ってしまった侃ですが、葛藤しながらも最後には未来へ向かって生きていこうとする姿に打たれました。
そして貴之もずっと強くてかっこよくて(きっと自分の中で悩み苦しんだ末に解決したんだろうけど)輝いていました。

色々なことを乗り越えて侃達はきっと素敵な大人になっていくんでしょうね。
物語のページは終わっても、彼らの人生は続いていっていると自然と思える物語でした。


また読書好きに共感できる文章にはにんまり。

>ほんとうに不思議なことに、ある本を読みたいとずっと思っていると、本のほうから目に飛びこんでくることがある。
 ぶらっと入った古本屋や図書館で、その本の表紙だけが、ぼうっと光って浮いて見えるのだ。本のほうも読まれるのを待っているということなのだろうか。


センダックの絵本や本の中で紹介されていた絵画など自分の目で見たいなと思いました。