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2003年からの読書日記

原発の、その先へ ミツバチ革命が始まる作者: 鎌仲ひとみ出版社/メーカー: 集英社発売日: 2012/07/26メディア: 単行本(ソフトカバー) クリック: 8回この商品を含むブログ (4件) を見る

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原発なき世界を、我々はどう創っていくのか
私たちの生活と地続きとなっている原子力の内実、そしてそこから抜けていく考え方や具体的な方法を、著者自身が取材や対話を通じて出会ったスウェーデンや日本の、具体的事例を交えて伝える。

第一章 ヒバクシャ 世界の終わりに
第二章 六ヶ所村ラプソディー
第三章 ミツバチの羽音と地球の回転
第四章 映画と共振する人々


この本は著者が映画を作ってきた過程を振り返りながら、これからどのような未来が可能なのか、私たちはこれから何を選択したらいいのか読者と一緒に考えていきたいと願って作られたそうです。


先日あるイベントで鎌仲さんの映画「六ヶ所村ラプソディー」(2006)を観てきました。
これを含め、原発に関するドキュメンタリー映画東日本大震災前に3本も作られていたんですね。
(「ヒバクシャ 世界の終わりに」2003年、「六ヶ所村ラプソディー」2006年「ミツバチの羽音と地球の回転」2010年)
恥ずかしながら、私は福島の原発事故が起きる前まで原発には関心がなく知ろうともしませんでした。
当然鎌仲ひとみさんのことも知らなかったとはいえ、この映画をもっと早く観たかった・・・という思いにさせられました。


印象的だった文章など。

>〜人間の欲望や人間の傲慢を最もわかりやすい形で体現したいものが原子力ではないか。つまり、人間の業=原子力産業だと。

>極論すれば、原発は人の命を削って金にかえるシステムでもあるわけです。

>自分自身の加担も自覚すること

>現在の福島で起きている最大の問題は、人と人とのつながりがあちこちで断ち切られていることだと、私は考えます。それが、ある種の政策、戦略の中で行われていることが問題だと思います。

>最後の砦になるのが、人と人とがつながることで生まれる力だと、私は思っています。地域で、本当の意味での自治を作ることです。

>地道なことでしか、人の意識は変わっていかない(でもだんだん加速度的に変わっていく)


原発に賛成・推進している人を非難するだけでは、問題の解決にはならないという文章も本当にそうだと思いました。


>変えがたいと見える現実でも、柔らかく変えていける可能性が、本当はあるのではないか、と思っています。対立ではなく対話を、断絶ではなく、それを乗り越え、つながりあう方法を一緒に探りたい、と願っています。そのためにひとりひとりが自分の意志で動く「ミツバチ革命」を提案したいのです。一人が発信する力は小さいかもしれないけれど、その一人が10に100に1000に増えて、そうやって社会が根底からシフトするために。


思考停止してしまうのではなく、その先(ではどうやっていけばいいのか?)を一人ひとりが自分の頭で考え、決断・行動していかなければ何も変わらないということ。
無力感に支配されず、あきらめないことも大切だと思いました。

他にも、スウェーデンのエネルギー循環システムはすごいと思ったし、トランジション・タウンの活動、坂口恭平さんのことなど最近気になっていたあれこれが紹介されていたのでタイムリーな時期に読めてよかったです。

震災後に作られた「内部被ばくを生き抜く」も他の映画もぜひ観たいと思っています。