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2003年からの読書日記

わたしが人生について語るなら作者: 加島祥造出版社/メーカー: ポプラ社発売日: 2011/01/19メディア: 単行本 クリック: 6回この商品を含むブログ (2件) を見る

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母から借りました。
著者は1923年生まれで現在87歳。
20年前から信州の伊那谷で一人暮らしをされています。

元は児童に向けて書かれたもので、それを年長者向けに編集し直したそうです。
優しく語りかける文章がとても心地よく勇気をたくさんもらいました。


現在も日々成長しているという著者。
十代の頃に身に付けたことが今も生きていると何度も語ります。


>頭で覚えたことは時間が経つと忘れてしまうが、体が覚えたことは、ずっと消えない。


年をとるとどうしても体は弱っていくけれど、心はしなびたりしない。
柔らかい心を持ち続けること、体の感覚や、かすかな勘を大切にすることが大事というのは本当にそうだと思いました。



>楽しみながら夢中になってやったことというのは、一生その人のなかから消えないんだ。でも、誰かに強制されてしぶしぶやったことは、やり終わったとたんに忘れてしまう。


>逆に考えると、将来役に立つだろうと計算して何かをやるのは、かえって損をすると言えるかもしれない。目標は達せられるかもしれないが、それが終わるとあとは役に立たない。


心が喜ぶこと、すなわち自分の好きなことをして人生を楽しむことがいかに大切か・・・


>世の中を悲劇的にする最大の要因は嫉妬心ではないだろうか。他人と自分を比較して、うらやむ気持ちだ。そういう気持ちがどうして起こるかと言えば、自分のしたいことをしていないからだろう。


自分の命を信じること、つまり命を実感することについての文章がとてもよかったです。


>自分のなかの命なんて実感できないと言う人もいるだろう。でもね、いちばん幸せだったときの自分を考えてみればいい。自分がいちばんいきいきとしていられた瞬間を思い出してみればいい。それは、君の命のいちばんいい部分が充分に働いて、たっぷりと生きている瞬間だ。自分の命がいちばん躍動する瞬間なんだ。ひとつずつでいいから、そういう瞬間をたくさん蓄えていってほしい。そして、その瞬間のことを、ときどき思い起こして、しっかりと持ち続けていってほしい。そうすることによって、これから先の人生においても、自分の命を生かす方向へと、人生を運んでいくことができると思う。



>能力を発揮することよりも能力をためこむことこそ大事だ。ためこんだ能力は、いつか自然に芽生えて花を咲かせ、人生を楽しく豊かにしてくれる。


子ども達にはもちろん、大人も読むと元気が出る本だと思います。

著者の他の本も読んでみたくなりました。