はぴの本棚

2003年からの読書日記

ナージャ希望の村―チェルノブイリ、いのちの大地 (学研のノンフィクション)作者: 本橋成一出版社/メーカー: 学習研究社発売日: 2000/12メディア: 単行本 クリック: 26回この商品を含むブログ (2件) を見る

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5月10日読了。

東日本大震災以降、原発についてもっと知りたい気持ちが高まっていました。
まずは前から読みたいと思っていた児童書作品から。


主人公は1986年に起こったチェルノブイリ原子力発電所の事故後に生まれた少女ナージャ
事故はお隣のウクライナ共和国で起こったんですが、ナージャのいるベラルーシ共和国のドゥヂチ村まで汚染は広がってしまいました。
政府から引っ越す命令が来たのは事故から5年後でナージャ一家が引っ越したのは1996年。


美しい自然は事故以前と何も変わらないのに放射能に汚染されてしまった村。
穏やかな日々の暮らしが突然の原発事故で一変してしまう・・・現在の福島県の状況が重なります。
ナージャの言葉からは村での楽しかった思い出が語られるのがほとんどですが、だからこそ原発の話がふっと出てくるたびに苦しい気持ちになりました。




>「草木も、生きものも、人間だって、生まれたところで育つのがいちばんいいんだよ」


>「みんな人間と同じいのちをもっている仲間。そのひとつひとつのいのちは、すべてのいのちにつながっているんだよ。ゆたかっていうことは、いのちあるみんなが気もちよく生きられることなんだよ」


チャイコフスカヤおばあさんの言葉が心に沁みます。



>にわとりだって、ぶただって、虫だって、りんごだって、いのちあるものみんなと気もちよくすごせることが、原子力でたくさん電気をつくって、便利なものをふやすことよりも、ゆたかだと思うのです。


ついつい便利さを追い求めてしまうけれど・・・このナージャの言葉がきっと本当の豊かさ。


ナージャの正式な名前はナジェージダ。
ロシア語で希望という意味だそう。

希望を持ってこれからの日本や世界が「いのちあるみんなが気もちよく生きられる」方向に変わっていくことを強く望みます。


映画「ナージャの村」も見てみたくなりました。