はぴの本棚

2003年からの読書日記

言葉はなぜ生まれたのか作者: 岡ノ谷一夫,石森愛彦出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2010/07/13メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 214回この商品を含むブログ (33件) を見る

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ノンフィクションは堅苦しい印象があったりであまり読んでこなかったんですが、知らないことを知るのは面白い。
まだまだ知らないことがたくさんあると改めて感じました。


本書は「なぜ人間だけが言葉を話すようになったのだろう?」という疑問を持った著者の長年の研究がまとめられたもの。
全部ではないですが振り仮名つきで、多くのイラストが入っているのでとても分かりやすく楽しんで読めました。


「息を止められなければ、ことばはしゃべれない」というのは考えたこともなかったです。


ことばの4条件(1.発声学習ができる。2.音(単語)と意味が対応している。3.文法がある。4.社会関係のなかで使い分けられる。)の一部を持っている動物はいるけれど、全て備えているのは人間のみというのもなるほどと思いました。



デグーハダカデバネズミは全く知らない動物だったので興味津々で読みました。
特にハダカデバネズミは姿形もびっくりだし、鳴きかたで階級の高さが分かるとのこと。
下っ端のデバのほうがより多く挨拶をするというのは人間関係とそっくりでおかしかったです。



「ヒトの祖先はうたうサルだった」という仮説はとても説得力がありました。
何百世代もかけて人間だけが言葉を話せるようになったというのは感動的だと思いました。


著者の「おわりに」もよかったです。
天文学者、動物学者、音楽家などにはなれなかったのは研究者としてのお仕事が運命づけられていたのかも。



>でもほんとうに、ほんとうに知りたいのは「こころ」の問題なのです。

「ことば」から「こころ」へ・・・研究の成果がまとめられる日を楽しみにしたいと思います。