はぴの本棚

2003年からの読書日記

詩ふたつ作者: 長田弘,グスタフ・クリムト出版社/メーカー: クレヨンハウス発売日: 2010/05/20メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 67回この商品を含むブログ (11件) を見る

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「花を持って、会いにゆく」「人生は森のなかの一日」の二つの詩にグスタフ・クリムトの絵が添えられています。
とても美しい樹木や花々の絵が詩にぴったりです。
あまりに美しすぎてこの世のものではないような感じもしました。


絵を眺めながら詩を声に出してゆっくり読んでみました。
音読は読み聞かせ以外に最近してなかったけれど、いいものですね。
時間がゆったり流れて癒される気がしました。
詩って普段あまり読まないけれど、やっぱり素晴らしい!



死んだらおしまいじゃないけれど、生と死は隔てられていて遠いような気がしていました。
でも、死んでしまうと案外近いものなのかもしれない。
今生きている私達からは死者を見ることができず、気づいていないだけで・・・


人は自然から生まれ、死んで自然に還っていくんですね。
死は怖いものという考えがどうしてもあるのですが、自然に還るのならそれはそれでいいのかも。
悟るにはまだまだな私(笑)でもこの詩はすっと受け入れられるような気がしました。



あとがきも素敵でした。
どの文章も味わい深く抜粋したかったのですが、特に印象に残った部分を紹介します。


>心に近しく親しい人の死が後にのこるものの胸のうちに遺すのは、いつのときでも生の球根です。喪によって、人が発見するのは絆だからです。



著者は2009年に奥さんを亡くされています。
クリムトの絵で励まされた著者がこの詩を書き、これからはこの詩ふたつが多くの読者を癒し励ますんでしょうね。


私はまだ親も元気で配偶者の死もまだまだ先だと思っています。
でもそれはいつやってくるか分からない。
遅かれ早かれ必ず近しい人の死は訪れる・・・
そういう時にこの本を思い出してゆっくり読んでみたいと思います。