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2003年からの読書日記

オシムからの旅 (よりみちパン!セ)作者: 木村元彦出版社/メーカー: 理論社発売日: 2010/02/25メディア: 単行本 クリック: 7回この商品を含むブログ (9件) を見る

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以前から気になっていた理論社よりみちパン!セシリーズ。
とてもよかったです。

恥ずかしながらこれを読むまでユーゴスラビア(ユーゴ)のことはほとんど関心がなく知りませんでした。
かつて6つの共和国と2つの自治州を含む連邦国であったということ、現在は連邦国が解体・消滅してしまったこと・・・
ドラガン・ストイコビッチ選手やイビツァ・オシムさんの半生を通して遠いユーゴのことをだいぶ理解することができたような気がします。


民族主義という言葉が何度も出てきますが、これは「人々が自分らの民族だけがえらいと考えたり、ほかの民族と敵対したり、ほかの民族を排除するような意識」のこと。
ユーゴだけが特別ではなくどの国でも多かれ少なかれ共通して持っているものだと感じました。



>人は遠い国のことでは、傷つかないでいられる。とはいえ、身近な問題に声をあげることはむずかしい。だからといって、そういう問題から逃げるのはいやだった。


日本でも「在日」「アイヌ民族」などの民族問題があるということ。
思いを実行に移し、自分の問題として向き合っている著者を尊敬します。


そして紹介されていた日本人の皆さん(鈴木道彦さん、大川常吉さん、荻村伊智朗さん、山口香さん)も民族主義でなく民族愛を持った素晴らしい方だと思いました。


KY(空気を読めない)についての著者の考え方も本当にそう。
空気を読むのは多数派におもねることで、本人としては楽であるけれど思考停止状態という指摘にはハッとしました。


>思考を停止したその先に、そのことによって被害を受ける人たちがいるのだとしたら、「空気読めよ」などといってすまされる話ではないはずだ。


>これは単なる思いこみなのではないか、妄想ではないか、信じるに足ることなのかそうではないか、などと思考をつづけつつ、誤りであると思ったのなら、たったひとりでも声をあげること。空気なんか読まない。
 それがたいせつなのだ。


私も身近な問題を避けて思考停止するのではなく、関心を持ちもっともっと知っていく必要があると感じました。



最後に「谷川俊太郎さんからの四つの質問への木村元彦さんのこたえ」もよかったです。
四つの質問は「何がいちばん大切ですか?」「誰がいちばん好きですか?」「何がいちばんいやですか?」「死んだらどこへいきますか?」

これはシリーズ全て同じ質問になるのかな?
それぞれの著者がどう答えるのか興味あります。