はぴの本棚

2003年からの読書日記

四十九日のレシピ作者: 伊吹有喜出版社/メーカー: ポプラ社発売日: 2010/02/16メディア: 単行本購入: 4人 クリック: 86回この商品を含むブログ (59件) を見る

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熱田家の母・乙美が亡くなった。
気力を失った父・良平のもとを訪れたのは、真っ黒に日焼けした金髪の女の子・井本。
乙美の教え子だったという彼女は、生前の母に頼まれて、四十九日までのあいだ家事などを請け負うと言う。
彼女は、乙美が作っていた、ある「レシピ」の存在を、良平に伝えにきたのだった。
家族を包むあたたかな奇跡に、涙があふれる感動の物語。

(BOOKデータベースより)


あまのじゃくなので(笑)紹介文に書かれている「涙があふれる感動」とまではいきませんでしたが、楽しめました。


誰にでもいつかはやってくる死・・・失って初めて気づくんですよね。
良平や百合子など残された人は後悔してしまいがち。
でも、井本がやってきたことで少しずつ元気を取り戻していく様子がいいなと思いました。


井本は実際に見たらインパクト大で近寄りたくない風貌だけど、優しくて純なところもある魅力的なキャラクター。
ハルミにも好感が持てました。


逆に常識人なんだろうけど無神経な珠子や親戚達の言葉、亜由美や浩之には複雑な気持ちも。
亜由美は確信犯っぽい感じでしたが、浩之の行動は妻だったら許せないかも。
やっぱり夫婦の問題は当人同士しか分からないんでしょうね。
ひとまず解決(になるのかな?)ということなんでしょうが、これからも百合子は苦労しそうだと思いました。


最初は真っ白だった乙美の年表がだんだん埋まっていっぱいになるところもよかったです。
良平はコロッケサンドのことを何度も後悔していたけれど、きっと乙美は幸せだったんじゃないかな?


リボンハウスでは乙美の別の一面が見られたんでしょうね。
レシピカードは良平達だけでなくたくさんの人々の処方箋になっているはず。
私も欲しくなってしまいました。


>世のなかは無数の匿名のテイクオフ・ボードで成り立っている・・・・・・

このテイクオフ・ボードという言葉も素敵でした。


私も夫や子どもや友人、また他の誰かのテイクオフ・ボードになれたらいいな。

死ぬ時に「自分の人生はよかった〜」と思える生き方をしたいと改めて感じる作品でした。


NHKでドラマ化されるとのこと。
井本を演じるのが誰なのか(笑)気になります。