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2003年からの読書日記

ハックルベリー・フィンの冒険〈上〉 (岩波文庫)作者: マークトウェイン,Mark Twain,西田実出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1977/08/16メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 62回この商品を含むブログ (38件) を見るハックルベリー・フィンの冒険 下 (岩波文庫 赤 311-6)作者: マークトウェイン,Mark Twain,西田実出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1977/12/06メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 7回この商品を含むブログ (21件) を見る


この作品が書かれたのは1885年、著者が50歳の時です。
最初『トム・ソーヤの冒険』の続編のつもりで書き始められたそう。


父親のところから逃げ出したハックは思いがけず黒人の逃亡奴隷ジムと筏の旅をすることになります。

一緒に旅を続けていくうちにジムは心優しくとてもいい人だと分かります。
助けたい気持ちはあるけれど逃亡奴隷の手助けは間違ったことで良心がとがめるという時代だったんですね・・・ハックが葛藤する姿に人種差別の暗い影が感じられました。


最初に登場したトムが再登場してあっという間に一件落着というのはうまくいきすぎてあっけない感じがしましたが、これはこれでよかったのかも。



筏で川を下る旅はとてものどかなんですが、地上では人間達の争いばかり。
グレンジャーフォード一族とシェパードソン一族の長年の争いに巻き込まれたり、ペテン師の二人組(王様と伯爵)に振り回されたり行く先々で大変な目に遭いますが、絶体絶命のピンチでも機転を利かせてうまく切り抜けていくのはさすがですね。

ハックはアル中で虐待もする父親のもとで育ってきたので大人を観察する目がとても鋭く冷静。
もちろん対処の仕方も心得たものです。
大人達の描写がとても興味深く、痛烈な皮肉も感じられました。


トムとハック、二人の違いにも興味がわきました。

ハックは浮浪児だけどトムは育ちのいい少年らしい。
ハックは現実的、トムは夢見がちなタイプかな?
主人公だからというのもあるけれど、過酷な状況に負けず常に明るさを持ち続けるハック(でも寂しがり屋)により好感が持てました。


トムが常に本を真似した正しいやり方にこだわるところが面白かったです。
〜のつもりになって空想の世界で冒険を楽しむというのがいいですね。
アラビアン・ナイト』『ドン・キホーテ』『モンテ・クリスト伯』など名作をちゃんと読みたくなりました。


子どもの頃は冒険物語として楽しめ、大人になって読み返すともっと色々なことに気づける作品だと思います。