はぴの本棚

2003年からの読書日記

リチャード三世 (新潮文庫)作者: ウィリアムシェイクスピア,William Shakespeare,福田恒存出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1974/01/30メディア: 文庫 クリック: 14回この商品を含むブログ (30件) を見る

シェイクスピア作品は『ロミオとジュリエット』『ハムレット』『マクベス』など耳にしたことがあるものの、ちゃんと読んだことは初めてかも。
次に読む『時の娘』ジョセフィン・テイ著にリチャード三世のことが出てくると聞き、予習のために読みました。


借りた本には表紙カバーがなかったのですが、amazonで見られました。
実際はどうだったか分からないけれど、リチャード三世はハンサムな方だったのかもしれませんね。
中の舞台写真のリチャード三世は表紙と違ってかなり怖いんですが(笑)どちらが本人に近いのかしら・・・

歴史上のリチャード三世は現実には温厚篤実な善王だったという解釈もあるそうで興味深いです。


世界史を取らず地理を選択したほど苦手な私ですが、聞いたことがあるくらいの薔薇戦争を知ることができたのもよかったです。


リチャードやエリザベス、ヨークなど何人も同じ名前の方が登場するので混乱しました。
すぐに挫折しそうになって苦し紛れに解題と解説を読んだのですが、これが正解。
だいぶ理解できるようになり助かりました。
途中からは物語の力でぐいぐい引っ張ってもらった感じです。


リチャード三世は残虐非道、その上口がうまい。
夫殺しの張本人なのに嘆き悲しむ妻のアンを口説いて自分の妻にしてしまうところはびっくりでした。
ころっと騙されるアンもちょっと情けないとは思うんですが・・・


とにかく人がどんどん死にます。
解説によると病死のエドワード王を除くと十人でシェイクスピア劇の中でも最大だそう。
でも舞台上で殺されるのは最初のクラレンスと最後のリチャードだけで他の人の処刑はセリフ上にとどまっているというのはうまいと思いました。


復讐と呪いの応酬がものすごくなんでもありでなんだか滑稽に感じるくらいでした。
悲劇なのに喜劇っぽいところもあって不思議な感覚。
リチャードも含め、自分だけは殺されないと思っていた人々が次々に処刑されていくところなんかもおかしかったです。


たくさんの人を殺して王になったリチャード三世ですが、その時期も短くあっけなく転落してしまいます。
結局彼も呪いからは逃れられなかったということでしょうか?
なんとも哀れな最期でした。


戯曲は初めて読みましたが、面白かったです。
今度は映像で見てみたいと思いました。