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2003年からの読書日記

人間失格 (1952年) (新潮文庫〈第443〉)作者: 太宰治出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1952メディア: 文庫 クリック: 2回この商品を含むブログ (5件) を見る

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今年最初に感想をUPする本のタイトルがこれでちょっと複雑ですが(笑)


太宰治作品を読むのは『津軽』に続き2作目。
読者に語りかけてくるような文体だからでしょうか?想像以上に読みやすいのに驚きました。
タイトルに暗示されているように内容はなんとも重いにもかかわらず面白く読めたのも意外でした。

先日読んだ森見登美彦著『夜は短し歩けよ乙女』で気になっていたお酒「電気ブラン」がちらっと登場していたのもうれしかったです。


物語は主人公の独白という形で進んでいきます。
人に見せる軽そうな外面とは裏腹に自分の内面に深い苦悩を抱いている様子が痛々しかったです。
まさに自己否定、自己破壊の文学ですね・・・

>いまは自分には、幸福も不幸もありません。
ただ、一さいは過ぎて行きます。

最後のこの文章がなんともいえない印象を残します。



奥野健男さんの詳しい解説のおかげで太宰治本人の一生や作品についてよく理解できました。

主人公は著者本人がかなり投影されているようです。
人間失格』は亡くなる直前に書かれた作品ということもあり(後半は自殺以後に発表されたそう)当時の読者はリアルタイムで切迫感を感じたんでしょうね。
著者に熱狂的な読者がいるのも分かる気がするし、長く読み継がれていくだろう名作というのも素直に頷けます。
ますます興味が出てきたのでこれから他の作品も読んでいきたいです。