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2003年からの読書日記

夕凪の街 桜の国 (アクションコミックス)作者: こうの史代出版社/メーカー: 双葉社発売日: 2004/10/12メディア: コミック購入: 60人 クリック: 1,350回この商品を含むブログ (1129件) を見る

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漫画です。短くてあっという間に読めます。
実は去年既に購入し、読んでいたんですが、色んな気持ちが湧いてくるばかりで感想にならず時間が経ってしまいました。
今年こそ8月に再読して感想をUPしようと決意。
衝撃は初読の時と変わらず心に重くのしかかる感じがしました。

でも絵はかなりソフトなやさしい感じなのが印象的。
悲惨な場面はほとんどないけれど、静かに訴えるものがありました。

「夕凪の街」の舞台は昭和30年の広島。
原爆が落とされて10年後、若い女性の皆実が主人公です。
家族は原爆の犠牲になり、残されたのは母親と彼女だけ。
当時の恐ろしい記憶が10年経った今も度々フラッシュバックしています。
そんな中、幸せをつかみかけた彼女でしたが、突然病魔が襲い・・・

「桜の国」は現代の広島だと思われます。
こちらの主人公は七波という少女。
「夕凪の街」の登場人物も出てくるので確認しつつ読みました。

広島は自分が学生時代住んでいたことがあったり、夫が広島出身だったりでなにかと縁がある土地。
学生の頃、原爆資料館原爆ドームにも行きましたが、直視できず帰ってきた記憶があります。
漫画には広島の地図が簡単に載っているのですが、よりリアルに感じました。


一瞬の出来事で家族や大切な人を奪われ、それまでの生活が変わってしまうということ。
なんて恐ろしくむごいんだろうと思います。
死んでしまった多くの人々、いまだ後遺症に傷ついている人々、生き残っても当時の惨状を思い出し、辛さを抱えながら暮らしている人々・・・
犠牲になったのは普通に暮らしていた多くの一般市民だというのが改めて分かります。

この漫画を読んでから、遠い過去の悲劇でどこか他人事のように思っていた原爆が実際日本で現実に起こったことで、被害を受けたのは自分と変わらない普通の暮らしをしていた人だということが強く胸に迫ってきました。

戦争や原爆については簡単に答えが出ない問題だけれど、平和について考えることがこれから少しでも増えるきっかけになった一冊になりました。

今年映画も公開されるようだし、もっとたくさんの人にこの漫画を知って欲しいと思います。
日本だけでなく世界中の人達にも読んで欲しいです。
静かだけれど国や世代を超えて強く訴える力がある作品だと思います。

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さくら > トントンさんは原作読まれたのですね、私は先日映画を観てきました。あまりにも感動して胸打たれたので原作の漫画も購入しましたが、まだ読んではいません。

「夕凪の街」は戦争はいけないということを押し付けるのではなく、皆実の短い人生を通して見る人に訴えるとても素晴らしい映画でした。原作と同じではないかもしれませんが、「誰かが私たちに死んで欲しいと思った、それなのにこの世におってもいいんじゃろか?」「原爆は落ちたんじゃなくて、落とされたんよ」「今やったって思ってるかな?13年経って又一人殺せたって喜んでいるだろうか?」皆実の静かな言葉が印象的で衝撃的でした。

この映画や原作を日本人はもちろんですが、今争いをしている人たち、核に携わる人たちにこそ見てもらいたいと思います。もっともっとたくさんの人に見てもらいたいと思います。

原作近いうちに読んでみます。 (2007/08/21 17:27)
青子 > トントンさん、私は今図書館に予約中です。楽しみにしています。
さくらさん、横レスすいません。映画ご覧になったのですね。私も見たいと思っている映画なんですが、時間が合わず見れるかどうか。。。1日、3回だけの上映なんですよ。期間も短そうだし。こういう映画もっと上映して欲しいです。 (2007/08/21 17:52)
まゆ > 初めて読んだ時、「夕凪の街」にはものすごくショックを受けました。「桜の国」には、泣かされました。こういう視点で原爆を描くのは新しい感覚だと思うし、もっと多くの人に読んでもらいたい一冊です。今は学校で生徒に紹介しています。 (2007/08/21 20:34)
トントン > さくらさん、おはようございます。映画を観られたんですね。私も機会があれば映画館で観たいなと思ってますし、無理なら遅くなってもDVDを待ちたいです。原作も買われたとのこと、感想UPゆっくり待ってますね。皆実の言葉は原作とほぼ同じだと思います。何度読んでもかなり衝撃を受けてしまいます。そうですよね!日本人はもちろん、争いをしている人たちや核に携わる人たちにこそ見て欲しいし、何かを感じてほしいなと思います。
>青子さんは図書館に予約中なんですね。私は感想を書くのに一年以上かかってしまいましたが(汗)青子さんの感想、ゆっくり楽しみに待っていますね。映画上映回数が少ないのは残念ですね・・・こちらの映画館はどうなのか気になります。もっと上映回数を増やして多くの人に見る機会を作って欲しいですね。
>この作品を買おうと思ったのは、まゆさんはじめ去年UPされた皆さんの感想を拝見したからだったでまさに本プロのおかげなんです。原爆を描いた作品というとなかなか手にとれなかった私ですが、やっぱり買ってよかったと思います。何度読んでも衝撃があり、考えさせられます。これから何度も読み返すことになりそうです。まゆさんが学校で紹介されているのはとてもいいですね。感受性豊かな若い人達が戦争や核、平和について考えるきっかけになる良書だと思います。
(2007/08/22 06:44)
トントン > 一番下はまゆさんへのレスです。 (2007/08/22 06:45)