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2003年からの読書日記

蒲公英草紙 常野物語 (常野物語)作者: 恩田陸出版社/メーカー: 集英社発売日: 2005/06/03メディア: 単行本 クリック: 5回この商品を含むブログ (211件) を見る

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恩田陸さんの本を読んだのは久々でしたが、これはものすごく私好みでした。
もう最初の書き出しからぐっと心をつかまれてしまいました。
峰子の語りもまさに昭和初期の感じで、丁寧な言葉遣いからもなんともいえない穏やかな気持ちにさせられました。
前回の『光の帝国』の記憶はかなりあやふやだったけれど、忘れていても十分楽しめたと思います。

村の中心のお屋敷、槙村家で病弱な聡子の相手をしていた峰子の回想という形で語られています。
常野一族の不思議な力、お屋敷の人達との交流、淡い恋など、物語のどの部分も心に響いてきました。
だけど最後の章はあまりにも切なくて辛くて、途中から涙が止まりませんでした。
久しぶりにこんなに泣いたような気がします。

心に響く文章がたくさんあったのですが、二つだけ。

>自分が幸せであった時期は、その時には分かりません。
こうして振り返ってみて初めて、ああ、あの時がそうだったのだと気付くものです。

>「私は運命を信じています。でも、運命は変わります。運命を待っているだけではどうにもなりません。こちらも歩いていかなければならない。これが私の信条ですね」

私はまだ恩田さんの作品をたくさん読んでいませんが、これは今まで読んだ中で一番気に入りました。
これから読むうちにもっと好きな作品が出てくるかもしれないけれど、それもまた楽しみではあります。
恩田さんは幅広いジャンルを書ける作家だと思っていましたが、やっぱりすごい人だと改めて気づきました。
まさに引き出しに物語の種をいっぱい「しまっている」感じです。
未読の本がたくさんあるので、これからも少しずつ読んでいきたいと思います。

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キイロイトリ > こんばんは。恩田さんの本は私も少ししか読んでないのですが、好きです。トントンさん5つ星ですね♪私もいつか読んでみたいと思っています。 (2006/04/17 22:29)
失業中 > 今月は偶然にも蒲公英草紙を読んだ方が多くて嬉しいです。なかなかでしたね。自分がいいなと思った本を他の人と共感できるのって嬉しいです。 (2006/04/17 22:38)
雨あがり > トントンさんも星5つ!うれしいです。最終章は本当に涙涙でしたね〜私も恩田ワールドの旅を少しずつでも続けていきたいです。 (2006/04/17 23:25)
トントン > キイロイトリさん、こんばんは♪恩田さんの本、色々なジャンルがあるけれど、どれも楽しめますよね。私も雰囲気かな?改めて好きだなあと思いました。キイロイトリさんもいつかぜひ読んでみてくださいね。
>失業中さん、こんばんは♪本当に、今月はたくさんの方が感想書かれてましたね。未読の時はなるべく他の方の感想を読まないようにしているので、さっき皆さんのをゆっくり読んできました!失業中さんがおっしゃるように、自分がいいなと思った本を共感できるのはお話できるのはとても嬉しいですね。皆さん読まれたばかりでタイムリーだからさらに嬉しかったです。
>雨あがりさん、こんばんは♪先ほど改めて皆さんの感想を読ませてもらったのですが、雨あがりさんも星5つでしたね。最後は涙がダーダー(笑)出て止まらなくて大変でした。しばらく読んでいなかった恩田ワールドですが、私も少しずつ旅していきたいと思っています。 (2006/04/18 23:31)
kanakana > 穏やかな物語だっただけに、洪水のシーンでは泣きました。。。こういう物語を読むと、平和を守っていかなければと思いますね。 (2006/04/19 19:45)
トントン > kanakanaさん、おはようございます。本当に・・・ずっと穏やかな感じですすんできたので、あの結末にはやられました。穏やかな中にも戦争の影があちこちに出ていましたよね。争いのない平和な世の中を切に願います。 (2006/04/20 10:22)