はぴの本棚

2003年からの読書日記

白いレクイエム作者: 大海赫,西岡千晶出版社/メーカー: 復刊ドットコム発売日: 2005/05/25メディア: ハードカバー購入: 1人 クリック: 26回この商品を含むブログ (8件) を見る

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大海赫(おおうみあかし)さんと読むんですね。
『メキメキえんぴつ』『ビビを見た!』などの感想が本プロで立て続けにUPされた時、気になってはいたんですが、かなり怖そうなイメージだったので、読むのを迷っていました。
でも、最近図書館で呼ばれるように何度もこの方の本を見かけるので、『メキメキ〜』や『ビビを見た!』の前にこの本から挑戦してみました。


母親を幼くして亡くした少年ウタウと、事故で亡くなってしまった少女アイの不思議な交流の物語。

「ママが死んだ。」から始まるので、まず冒頭から驚きました。
それに何人もの子ども達が次々と死んでいくので、やっぱりホラー?と思ってしまったのですが、だんだん話が分かってきたところで、物語に入っていくことができました。

登場する子ども達が生き生きしているのに対して、大人達はなんとも物分りの悪い、堅苦しい感じに描かれているのが印象的です。

校長先生のセリフにそれが詰まっていると思います。
「とにかく、子どもは弱い者なのだ。わたしたちは、そんな子どもたちを悪い者から守っていかなくてはならないのだ。わかるね?」

それに対するウタウの思いの方がかなり響きました。
>子どもって、そんなに弱い者だろうか?
恐ろしい者からにげてさえいれば、ぼくたちは安全なのか。
そんなことばかりしていれば、いっそう弱くなってしまうのではないのか。

たしかに子どもは弱い者かもしれない。
でも大人も実は弱いし、子どもは強い部分も持っているはず。
守るべき存在だけれど、弱いと決め付けてしまうのはいけないと感じました。


死神だと思われていたアイですが、結末はとてもよかった。
まさにレクイエム(死んだ人の魂をなぐさめ、はげますための曲)でした。

現実は厳しくて悲しいことも多いけれど、それでも人は生きていくし、立ち直ることもできるというメッセージがあるように思いました。

あとがきによると、この物語は1979年に書かれ、2005年に出版されたとのこと。
著者が幼い頃病弱だったことから、死を怖れ、死について深く考えたりしていたんですね。
これからも大海さんの他の作品を少しずつ読んでいきたいと思います。

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北原杏子 > 大海赫さん(おおあまかいさん、と勝手に呼んでました(笑)本プロでも人気が高いし、ぜひ読んでみたいんですが、私のいく図書館に一冊もないんです。リクエストするのも億劫でいままで放っていました。この本はよさそうな感じですね。これから行ってみようかな? (2006/02/22 00:39)
キイロイトリ大海赫さんの本は1冊だけ読みましたが、強烈な印象で、なんだか忘れられなくなっています。この本は図書館で見かけて気になっていました。ぜひチェックしたいです。 (2006/02/22 08:35)
ときわ姫 > 調べたらありました、図書館に。即予約しました。読みます! (2006/02/22 13:42)
トントン > 北原杏子さん、実は私も(おおうみかい)さんだと勝手に読んでたんですよ(笑)きっと読めない人多いと思いますよ〜大海さんの本が図書館にいつか入ればいいですね。
キイロイトリさん、私はこれが最初だったので強烈さは他の作品に比べてどの程度か分からないんですが、忘れられないという点では同じかもしれませんね。これもぜひ読んでみてくださいね。
>ときわ姫さんは予約されたんですね♪感想楽しみにしています。 (2006/02/22 22:18)
すもも > この本ではないのですが、大海さんの名前(わたしも北原さんと同じく、「おおあまかい」さんとばかり・笑)を図書館で見つけて、さっそく借りました。おもしろい作家さんですね。ブラックユーモアというか。気に入ったので、この本も読んでみたいと思いました(^^) (2006/03/09 09:56)
トントン > すももさん、こんばんは♪お久しぶりです。私も最初は名前読めなかったんですよ・・・皆さん一緒かな(笑)すももさんも別の作品を読まれたんですね。ブラックユーモアというかなんともいえない吸引力がありますよね。この本も見かけたらぜひ手にとってみてくださいね。 (2006/03/10 23:09)