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2003年からの読書日記

エンジェル エンジェル エンジェル (新潮文庫)作者: 梨木香歩出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2004/02/28メディア: 文庫購入: 4人 クリック: 37回この商品を含むブログ (133件) を見る

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梨木さんの小説は子どもと老人の交流が多いですね。
これも生と死、愛と憎しみ、神と悪魔について考えさせられるような話でした。

コウコは寝たきりに近い祖母のトイレ当番を引き受けることになり、熱帯魚を飼うことを許されます。
その頃から祖母ははっきり覚醒しては不思議な反応を見せはじめ、コウコと色々な話をするようになります。

コウコの普段の生活と祖母の女学生時代の生活が交互に展開し、さらっとした内容で淡々と進む印象ですが、読みながらちょっと怖い感じを受けました。

祖母の苦い記憶が熱帯魚の思いもよらない行動から呼び起こされたこと。
コウコの生きにくさ(カフェイン中毒やいい子でいる葛藤)も痛かったです。
短くてあっという間に読めるけれど色々考えさせられる話でした。

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まゆ > おばあちゃんの回想の部分がすごく好きでした。でも、ちょっと怖い話ですね。 (2004/08/05 17:18)
トントン > まゆさん、私はこの本を読んで熱帯魚のイメージが少し変わりました。おばあちゃんの回想の部分(特にお菓子作りを習いに行くところだとか、学生生活)は昔ってこんな感じだったのかな〜と楽しみながら読めました。 (2004/08/06 18:02)
たばぞう > 「神様が、そう言ってくれたら、どんなにいいだろう。」
「私が、悪かったねえって。おまえたちを、こんなふうに創ってしまってって」---このせりふが大好きで、お気に入りの物語です。短い物語でこんなスゴイものをさらりと書いてしまう梨木さんの力量に驚きました〜。 (2004/08/07 18:34)
トントン > 短い物語なのに深い印象を残す・・・私も同感です。梨木さんは毎回読むのが楽しみな作家の一人です。 (2004/08/07 19:50)
ケイ > こんにちは〜西の魔女も好きですが、これも読んでみたいです。面白そうですね。手応えがありそう、、祖母と孫、、つながりを上手に表現する梨木さんならではのようですね。 (2004/08/09 12:38)
トントン > ケイさん、遅レスごめんなさい。この本はちょっと不気味?怖い部分もありましたが短いのになかなか読み応えありましたよ。ぜひどうぞ! (2004/10/19 13:22)


[★★★]

ストラヴァガンザ 仮面の都

ストラヴァガンザ 仮面の都

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21世紀で重い病気にかかっている少年ルシアンは謎の手帳を手にした時、時空を超える能力を身につけます。
たどり着いたのはヴェネツィアにどことなく似ているベレッツァという都。
不思議な事に、そこではルシアンの病気は治っているのです。
ルシアンはアリアンナという少女と出会い、ベレッツアのことを知るごとに新しい世界に魅了されていきます。
ベレッツアは魅力的な女公主ドゥチェッサが治めている都でした。
しかし、ドゥチェッサには暗殺の魔の手が迫っており・・・

魔法、仮面、スパイ、時空を超える旅という魅力的な話がどんどん出てきます。
ルシアンが時空を超えた世界になじんでいく様子はすごくわくわくしましたが現実世界で病気の自分に戻ったところはなんとも悲しく、切ない気分になりました。
後半の展開も「やっぱり・・・」と思ったけれど、予想していたとはいえ辛かったです。

3部作ということで、あとの2作がどういう感じになるのか気になります。


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ときわ姫 > ラストで、「あれでかえって良かったんだよね」と思うのに切ない気持ちになってしまいました。有名で値段が張るらしいあの手帳、一冊欲しいと思います。欲しいというより一度手にとってみたいの。 (2004/08/08 17:29)
トントン > 両親の気持ちを思うとかなり切なかったですよね〜ルシアンにはよかったのかな?と思ったけど複雑な気持ちが残りました。さっきときわ姫さんの日記を見たんですが、あの手帳って実際にあるんですね。それも高いんですか!マーブル模様は印象的だったのでぜひ見てみたいです。 (2004/08/08 17:55)
北原杏子 > トントンさんも読まれましたね。2巻が気になりますよね。2巻の「星の都」は9月以降かなあ?楽しみですよね。 (2004/08/11 01:19)
トントン > 北原杏子さん、遅レスごめんなさい。もう2巻出てるんでしょうね〜ぜひ読みたいです。 (2004/10/19 13:23)


[★★★★]

デッドエンドの思い出

デッドエンドの思い出

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5つの短編がおさめられています。
ばななさんは「これまで書いた作品の中で、いちばん好きです」と書いていたし、本プロでもけっこう評価が高かったので読んでみました。

どの主人公も過去や現在に何か心に傷を負っているんだけれど、周りの人に少しずつ癒されていく様子が描かれています。
私が特に好きだったのは「幽霊の家」と「おかあさーん!」でした。

ばななさんの作品は以前よく読んでいたけれど、なぜかしばらく離れてました。
でも久々に読んでやっぱりいいなあと再確認できました。

ばななさんの文章は「まるで〜」とか「〜感じ」というのが多いのが特徴ですが、今回は読む時期がよかったのか一つひとつをイメージしながら読めた気がします。

状況は違うけれど、誰もが持っている傷ついた思い出や心の痛みなどを思い出させてくれ、
物語の中で主人公が癒されているのを見て読後自分も一緒に元気になっている・・・それがいいんだと思います。


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まゆ > 「おかあさーん!」が印象的でした。作者の思い入れがあるらしい表題作は、残念ながら私にはあんまりピンと来ませんでした。 (2004/10/28 18:54)
トントン > 私もまゆさんと同じく「デッドエンド〜」はあまり印象に残りませんでした。これは夏に読んだのですが、今の季節がぴったりの表紙ですよね♪ (2004/10/29 19:08)