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2003年からの読書日記

誰か ----Somebody作者: 宮部みゆき出版社/メーカー: 実業之日本社発売日: 2003/11/13メディア: 単行本 クリック: 69回この商品を含むブログ (101件) を見る

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宮部さんの新刊を思いがけず早く借りることができました。
2年ぶりの現代ミステリーだそうです。

ある財閥会長の個人運転手梶田が自転車に轢き逃げされ死亡する事故(事件?)が起こります。
編集者の杉村は義父の会長に梶田の娘二人を紹介され、相談に乗ることになります。
妹の梨子は父の本を出版し犯人を見つけるきっかけにしたいと張り切りますが、姉の聡美はなぜか反対していて・・・

自転車の轢き逃げで死んでしまうことってあるんだろうか?と最初疑問に思ってしまいました。
でもよく考えると自転車でも猛スピードでぶつかられたら大怪我するし、打ち所が悪かったら死も有り得ると思って怖くなりました。

特に大きな衝撃的な事件があるわけじゃないけれど、じわじわとくる話でした。
家族について、きょうだいについて、相手がどう思おうと自分個人にしか分からない気持ちや孤独感について色々考えながら読みました。

杉村はごく普通の人物だからかとても好感が持てました。家族を大切に思っているところも素敵。
でも彼も孤独感や不安はもちろんあり、色々な気持ちを抱えて日々生きています。見た目では分からなくてもみんなそうなんだと思いました。

梶田姉妹は正反対のタイプだったからこそ、お互いをうらやましがって複雑な感情を持ってしまうのでしょうか?
近い存在だから気持ちも分かるし、意地を張り合ったりして反発も強いのかと感じました。

最後の方は納得のいかないことが多かったです。個人的にすっきりした終わりが好きなので今回は星3つ。


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まゆ > 杉村の生き方や姉妹の相克など、いろんなことを考えさせられる作品でした。「模倣犯」のような派手さはないけど、さりげなくさまざまな問題を提起するあたり、宮部さんのうまさだなあと感じました。 (2003/12/27 19:03)
ココ > 杉村に思いっきり感情移入して、もう悔しくて悔しくて涙が出ました。それと、私は一人っ子で、子どもの頃はそれでもなんともなかったのですが、大人になってからはキョウダイがいたらな〜といつも思っています。だから梶田姉妹のこと、とっても淋しかったです。姉妹にはそういう感情ってあるものなのでしょうか。 (2003/12/27 22:48)
さくら > ストーリーのインパクトはそれほどでもなかったのですが、杉村の生き方から感じた夫婦のあり方や家族愛、姉妹の関係などに深く考えさせられました。 (2003/12/28 09:17)
トントン > まゆさん、この話は身近にありそうな事件を描いていて「模倣犯」とはまた違った魅力がありました。さすが宮部さんですね。
ココさん、私も杉村に感情移入して読みました。私には弟と妹がいるけど(妹とは梶田姉妹くらい年齢差あり)梶田姉妹ほどの感情のぶつかりはないです(笑)親からかわいがられてるのは確かなのでちょっとうらやましい時はあるけど・・・
さくらさん、杉村夫婦と桃子ちゃんの関係いいですよね。淡々としているけどじんわり効いてくる話でした。 (2003/12/28 10:20)