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2003年からの読書日記

裏庭 (新潮文庫)作者: 梨木香歩出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2000/12/26メディア: 文庫購入: 6人 クリック: 41回この商品を含むブログ (142件) を見る

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『からくりからくさ』を読んでいいなあと思ったのでこの本を借りてみました。
第1回児童文学ファンタジー大賞を受賞している作品です。

主人公は小学生の照美。両親はレストランを経営していて忙しく寂しい思いをしています。
以前照美は近所の子ども達とよくバーンズ屋敷の裏庭で遊んでいました。
そこはかつて英国人一家が住んでいた庭で格好の遊び場になっていたのです。
照美には双子の弟がいてよく遊んでいたのですが6年前に亡くなっていました。
そのことがきっかけで裏庭からは遠ざかっていたのですが、ある時久しぶりに訪れた裏庭から別の世界に旅立ってしまいます・・・

両親が忙しくて、かまってもらえず「自分は必要ない子なのだろうか?」と心を痛める照美に読んでいる自分も胸が痛かったです。

心の傷は目に見えないけど、それを直視しないで鎧をつけているうちは傷が癒えることはないと著者が繰り返し言い続けているような気がしました。
感情を押し殺していた照美が違う世界で徐々に自分を開放し、怒ったり、思い切り泣いたりして変わっていくところに心を動かされました。

異世界に入った時、字体が変わるのとカタカナ名が多くて気になったけれど、テナシや音読みの婆が登場するところからは楽しめるようになりました。

梨木さんの小説は、かなり不思議な世界だけれど読んでいくうちに結局引き込まれます。
また他の作品も読んでみたいです。

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さくら > 「からくりからくさ」はとても好みだったのですが、残念ながらこの本はファンタジー色濃すぎで、ちょっと入り込めませんでした。字体が読みにくかったせいもあるのかもしれないですけど〜。 (2003/08/09 17:26)
たばぞう > 私も、あちら側に行ってしばらく苦労しましたが、何故かテナシが出てきてからするするいっちゃったんですよ。自分でもどうしてかわからないのですが。 (2003/08/10 10:05)
トントン > さくらさん、面白かったけ物語に入り込むまでが長かったですね。カタカナ名にもちょっと戸惑いました。
たばぞうさん、私もそうです。テナシにはなぜか惹かれました。この小説は独特の雰囲気がありましたね。 (2003/08/10 12:22)