はぴの本棚

2003年からの読書日記

羊と鋼の森作者: 宮下奈都出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2015/09/11メディア: 単行本この商品を含むブログ (43件) を見る

ゆるされている。世界と調和している。
それがどんなに素晴らしいことか。
言葉で伝えきれないなら、音で表せるようになればいい。

「才能があるから生きていくんじゃない。そんなもの、あったって、なくたって、生きていくんだ。あるのかないのかわからない、そんなものにふりまわされるのはごめんだ。もっと確かなものを、この手で探り当てていくしかない。(本文より)」

ピアノの調律に魅せられた一人の青年。
彼が調律師として、人として成長する姿を温かく静謐な筆致で綴った、祝福に満ちた長編小説。


まず不思議なタイトルと美しい装丁に興味を持ちましたが、素晴らしかったです!
大好きな物語になりました。


子どもの頃、ピアノを習っていました。
けっこう習っていた年数は長かったけれど、練習熱心じゃなかったし、本当に好きだったかは謎。
今はほとんど弾けないのが残念です。


しばらく弾かれないままでしたが、次女が2年前に習い始めたのをきっかけにまたお世話になっているピアノ。
楽しんで続けているので、ずっと調律してないのはまずいかもしれない・・・と今更ながら思い始めました。

小説で調律師さんの仕事が少しは理解できた気がするので、実際の作業を近くで見てみたい気もします。
自己流でもいいので、またピアノを再開して娘と一緒に練習するのも楽しいかも。

歌うこと、音楽を聴くこと、好きな歌手のライブに行くことなど、ずっと音に触れる日常があるのはピアノを習った経験があるからかもしれません。


また仕事に対する姿勢についても深く考えさせられました。
年齢や職業は違うけれど、私も働き始めて2年目。
外村くんに感情移入しながら読みました。


仕事に慣れてきてだんだん周りが見えるようになってくる時期。
まだまだ不安や葛藤があるし、力不足を痛感する日々です。
でもこの仕事にやりがいを感じるし、職場の皆さんにも恵まれているのは同じ。
好きな気持ちを大切にして成長していきたいと改めて勇気をもらえました。


また何年か経ったら柳さんや秋野さん、板鳥さんの気持ちに共感できるかも。

この物語に出会えてよかった!
再読を楽しみにしたいと思います。