はぴの本棚

2003年からの読書日記

うたかた/サンクチュアリ (角川文庫)作者: 吉本ばなな出版社/メーカー: 角川書店発売日: 1997/12メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 12回この商品を含むブログ (31件) を見る

人を好きになることは本当にかなしい。
かなしさのあまりその他のいろんなかなしいことまで知ってしまう。
果てがない――瞬間、私もまた彼に恋をする。
失望も欲望も、あらゆる角度から彼をくり返し発見して、くり返し恋をする。
そして、こういう恋はもう後戻りできないことを、くり返し知る――  
透明な空間のなかに、運命的な恋の瞬間と海の底のような静謐な愛の風景を描き出した二中篇を収録。
芸術選奨新人賞受賞。

吉本ばななさんの小説を初期の頃から少しずつ読んでいます。

『キッチン』は過去に読んだ記憶がはっきりあったけれど、今回は怪しい(笑)
角川文庫版を読みました。


「うたかた」

>人を好きになることは本当にかなしい。

読み始めて主人公のインパクト大の名前とこの言葉が印象に残っていたのを思い出しました。
若い頃「うたかた」だけ読んだのかも?
恋はもちろん、家族の絆について考えてしまう作品でした。


サンクチュアリ

男性が主人公なのが新鮮で珍しい感じがしました。
サンクチュアリとは聖域、自然保護区のことだそう。
智明と馨は偶然出会ってその後再会するのですが・・・人の出会いって不思議。
不倫や自殺などけっこう重い内容なのにさらさら読めてしまうのがすごいと思いました。


どちらの話も辛い経験をしている主人公が登場しますが、最後はほんのり明るい光が射してくるような感じがするところが好きでした。