はぴの本棚

2003年からの読書日記

西洋菓子店プティ・フール作者: 千早茜出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2016/02/12メディア: 単行本この商品を含むブログ (6件) を見る

女を昂奮させない菓子は菓子じゃない

スイーツは誰かの心を不意につかんで新しい場所へと羽ばたかせるスイッチ。
下町の洋菓子店を舞台に繰り広げられる鮮烈な六つの物語。

千早茜さん。
以前『魚神』が気になりつつ結局手に取る機会を逃していましたが、今回やっと読むことができました。
まず素敵な装丁にうっとり。

章タイトルごとにスイーツの名前がついていて、物語と絶妙にリンクしている感じがとても巧い。
私には洋菓子の専門的な知識が全くないけれど、美しく繊細で甘くて苦くて深い・・・色々な魅力を味わいながら読めました。

登場人物達は皆どこか不器用で秘密を抱えている愛すべき人達ばかり。
亜樹と祖父は似ているからこそ分かる部分があり、反発しあう部分もあるんでしょうね。
祖母やマスターの存在感もよかったです。
亜樹と祐介の未来が明るいものでありますように・・・

洋菓子も和菓子もどちらも好きな食いしん坊ですが(笑)
読んでいるとやっぱり登場するお菓子を食べたくなってしまいました。
再読する時には登場する洋菓子を準備して至福のひとときを過ごしてみたいです。