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2003年からの読書日記

はなとゆめ (単行本)作者: 冲方丁出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2013/11/07メディア: 単行本この商品を含むブログ (21件) を見る

清少納言は28歳にして帝の后・中宮定子に仕えることになる。
内裏の雰囲気に馴染めずにいたが、定子に才能を認められていく。
やがて藤原道長と定子一族との政争に巻き込まれ……。
美しくも心震わす清少納言の生涯!

著者の時代小説第三弾!
天地明察』『光圀伝』もよかったんですが、今回は女性が主人公ということで特に楽しみにしていました。
物語の中でも触れられていましたが、タイトルの漢字は「華と夢」なんですね。
平仮名だとより柔らかい雰囲気。
豪華で素敵な装丁にもうっとりしました。
歌がたくさん出てきますが、すぐ後に解説があるので理解しやすく助かりました。


枕草子』は授業で習って以来ですが、はっきりした物言いが面白かったのを覚えています。


そのためか清少納言について自信満々でかっこいい女性という印象を持っていましたが、出仕してしばらくは暗い時にしか中宮様の御前に出られなかったとか、くせ毛を気にしていたなど意外に思うことが多かったです。
三度結婚したこと、子どもを二人産んだことも知りませんでした。


特に印象に残ったのは中宮定子の聡明さと強さでした。
清少納言に自信を与え華を見出したのは彼女の力が大きかったんですね。


>(わたしは中宮様の番人であるのだ。わたしにできる全てをもって、お見守りするのだ)


こんなに強い思いを抱かせるほどの女性だったなんてすごいです。
藤原道長が恐れたのは定子というのもなるほどと思いました。



>わたしが愛しいと感じる全てを書けばよいのだ。愛しさを通してなら、憎らしさも嫌なことも全て、面白いものに変えてしまえる。どれほど辛い思いも、笑いさざめく中へ放り込んでしまえばいい。


>わたしと中宮様がともに見出した、愛しい記憶の全て。
 それがわたしの『枕』なのです。

中宮様を喜ばせたいという気持ちが『枕草子』の誕生につながったこと。
多くの人の手から手へ伝わり長い時代を経た後、現代の私達が読めるなんて本当に奇跡に近いと思います。

枕草子』じっくり味わってみようと思います。