はぴの本棚

2003年からの読書日記

新幹線お掃除の天使たち 「世界一の現場力」はどう生まれたか?作者: 遠藤功出版社/メーカー: あさ出版発売日: 2012/08/28メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 3人 クリック: 131回この商品を含むブログ (29件) を見る

JR東日本の子会社である鉄道整備株式会社、通称テッセイ。

新幹線の停車している短い時間で車内をテキパキ掃除する様子や丁寧なお辞儀姿をテレビでちらっと見ることがあり、気になっていました。
テッセイの人達の仕事ぶりを直接目にしたことがないのは残念ですが(きっと素晴らしいはず!)本書を読むことで色々分かってよかったです。


1日に清掃する車両本数は約110本で車両数は約1300両にも上ることにびっくり!
(ゴールデンウイークや年末年始などのピーク時は1日約160本に達するそう)
シフトは早組と遅組の2交代制で始発の6時から最終の23時までを1日11組が担当します。
1チーム(組)22名が多いときには1日約20本の車両清掃を担当し、1両(約25メートル客席は約100)を一人が担当するそう。
新幹線停車中の約7分間できれいにするというのはとても大変だと想像できます。


従業員数は正社員とパート社員を含め約820名。
平均年齢が52歳で女性比率は約5割。
管理職や現場リーダーである主任には女性が多く活躍しているというのが素敵です。
入社時は全員パート社員からスタートしますが、1年経つと自薦で正社員採用試験を受けられるというのもいいなと思いました。


特に印象的だったのがエンジェル・リポート。
(現場でコツコツと頑張っている人、よい取り組みをしている人を埋没させずに、きちんと浮かび上がらせ、その努力や頑張りを認め、褒める仕組み)
本には11のリポートが紹介されていましたが、どれも現場スタッフの仕事に対する思いが伝わるものばかりで読むと心が洗われるようでした。
月間、半期、年間の個人表彰もあり、こまめにできるだけ多くのスタッフを表彰する工夫があるというのもいいなと思いました。


そんなテッセイですが、最初から注目される会社ではなく普通の清掃会社だったというのは驚きました。
様々な改革、改善があり、徐々に世界一と呼ばれるほどの会社に変化していく様子が興味深かったです。


東日本大震災直後のことも書かれてありました。
制服に応援エンブレムをつけたり、ホームで応援ポストカードを配ったり、清掃中を知らせる札に「がんばるぞ!日本」の文字を付け足すなどしたそうです。
「がんばれ」でも「がんばろう」でもなく「がんばるぞ!日本」という言葉にテッセイの皆さんの心が表れているようでした。
当時、これを見た人達はきっと力をたくさんもらえたと思います。


「さわやか あんしん あったか」を大切にしているテッセイ。
これからも進化し続けていって欲しいです。


*社名変更を検討中とあって新しい社名が気になっていましたが、検索したら2012年10月1日に株式会社JR東日本テクノハートTESSEIと変更したとありました。