はぴの本棚

2003年からの読書日記

想像ラジオ作者: いとうせいこう出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2013/03/02メディア: ハードカバー クリック: 4回この商品を含むブログ (88件) を見る

耳を澄ませば、彼らの声が聞こえるはず――。
「文藝」掲載時より口コミで話題を呼び、かつてない大反響に。
著者16年の沈黙を破る、生者と死者の新たな関係を描き出した心に深く響く物語。


いとうせいこうさん。
話題作ということでずっと気になっていました。

読みやすいけれど、なんだか一筋縄ではいかない感じ。
東日本大震災のことを描いていますが、すごく不思議で独特な印象の物語でした。
私の住んでいるところは東北とずいぶん距離があるので直接被災された人達が読んだらまた違うかもしれません。


印象に残ったのは、失って分かる日常のかけがえのなさについて人々が語る部分でした。
大切な人を失って残された人達の思い、逆に大切な人達を残して亡くなってしまった人達の心残り、どちらもとても切ない。
震災に限らずこれはいつか私達が感じなければならないことかもしれないですが・・・


>「〜亡くなった人の声に時間をかけて耳を傾けて悲しんで悼んで、同時に少しずつ前に歩くんじゃないのか。死者と共に」


この文章にとても共感しました。