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2003年からの読書日記

永遠の0 (講談社文庫)作者: 百田尚樹出版社/メーカー: 講談社発売日: 2009/07/15メディア: 文庫購入: 39人 クリック: 275回この商品を含むブログ (364件) を見る

「生きて、必ず生きて帰る。妻のそばへ、娘の元へ」
涙を流さずにはいられない、男の絆、家族の絆。

「娘に会うまでは死ねない、妻との約束を守るために」。そう言い続けた男は、なぜ自ら零戦に乗り命を落としたのか。終戦から60年目の夏、健太郎は死んだ祖父の生涯を調べていた。天才だが臆病者。想像と違う人物像に戸惑いつつも、1つの謎が浮かんでくる――。記憶の断片が揃う時、明らかになる真実とは。

「俺は絶対に特攻に志願しない。妻に生きて帰ると約束したからだ」
真珠湾に参加するとわかっていたら、結婚はしませんでした」
零戦はかつて無敵の戦士でしたが、今や――老兵です」
「私には妻がいます。妻のために死にたくないのです」
「私は帝国海軍の恥さらしですね」


夫が原作を購入していたのでいつか読もうとは思っていたんですが、戦争や特攻の物語とのことでなかなか手に取ることができませんでした。

読む前に映画が公開されたので、そちらを先に観ました。
予想していたものの、号泣・・・これは原作も読まねばと重い腰を上げやっと読むことができました。


フィクションとはいえ、重い内容なのでなかなか進まず、ゆっくりゆっくり読みました。
原作は内容も詳しく、映画には登場しない人達もけっこういました。

宮部は原作では六尺近くの背の高い男性として描かれているんですね。
映画の岡田准一さんは小柄なので違うなと思ったけれど、宮部の雰囲気はとても合っているように感じました。


印象に残った文章。

>戦争とは、自分が殺されずに一人でも多くの敵を殺すことなのです。


>「〜名もない人たちはいつも一所懸命に頑張っている。この国はそんな人たちで支えられているんだと思う。〜」


苦しい読書の中、特に衝撃だったのは後半、通信員が語る特攻の場面でした。
今まさに特攻の真っ最中であるパイロット自身にモールス信号で自分の状況を伝えさせるなんてとても過酷でひどすぎる。
これは本当にあったことなのか?を思いながら読みました。
人が人でなくなってしまうのが戦争なんでしょうね。


太平洋戦争、零戦、特攻、日本の戦前〜戦後について、知ろうとしてこなかった自分を今回改めて痛感しました。
目をそらしていたつもりはないけれど、そうなんでしょうね。

その一方でこの本だけ読んで分かったつもりになってしまうのも怖いと思いました。
色々なものを幅広く読んで知識を得ることが必要。


太平洋戦争で300万人もの人々が亡くなっているという現実に改めて愕然としてしまいます。
あっという間に多くの命が失われてしまう戦争。
戦争を知らない世代ですが、平和が続くことを切に願います。